部下から「ついていけない」 挫折バネに銀行改革ジャパンネット銀行 田鎖智人社長

「自分は不器用だから、なかなか変われなくて」。田鎖氏は謙虚にこう話す。そして、耳の痛いことを言い続けてもらうには仕組みが必要だとも指摘する。ヤフーには上司以外の意見も反映させる評価制度があり、ジャパンネット銀行ではまず、上司以外の意見を届ける仕組みを開始する予定だ。まずは自分の評価について、役員の意見を聞く。「社長ほど、自分と異なる意見が集まりにくいポジションはない」と自覚するからだ。続いて役員、部課長と順番に対象を広げていく計画だ。

きのうの自分より1%成長しよう

「昨日より1%成長しよう」と社員に語りかける

社長に指名されたとき、まず思ったのは「今まで以上にフラットな気持ちで社員の話を聞こう」ということだった。金融分野に一定の知見はあるが、「銀行に求められる信頼は今までとは重みが違う」。銀行には銀行の文化があり、社員教育や個人のモラル、業務の進め方など、学ぶべき点は学んでいくという。

その上で、ネット産業の良さであるスピード感や、失敗を許容する風土を徐々に浸透させていく。「顧客に迷惑をかけるのはダメだが、失敗こそが自分を成長させてくれる」。上司の指示をそのまま実行すれば失敗する確率は低いかもしれない。ただ、顧客のニーズを一番よく知るのは現場の社員。「彼らが仮説を立て、パズルのピースを1つずつ合わせていくように、仮説を組み立てて実行する。そこで成果を上げれば、ピースがはまった瞬間のような喜びが味わえるはず。それがやりがいの実感にもつながる」

具体的な成果も出始めている。例えば、キャッシングサービスを紹介したサイト画面。以前はサービスを実施する事業部門が広告バナーのデザインまで決めていたが、顧客と接するカスタマー部門やデザイン部門の意見も取り入れて考え直した結果、顧客がバナーをクリックする割合が2倍になった。「現場も含めた議論は時間がかかるように見えて、実は最適な解にたどり着く時間は短くて済む」。こうした成果を一人でも多く体感してもらいたいと話す。

「きのうの自分より1%成長しよう」。社員によく言う言葉だ。自分自身については、きのうより2%の成長を社員に宣言している。一人ひとりの成長と会社の成長を結び付ける。それを社員が実感できる。理想のチームづくりへ、フィードバックを繰り返しながら進んでいくつもりだ。

田鎖智人
1995年早稲田大学政経学部卒業、日本信販(現・三菱UFJニコス)入社。2003年ヤフー入社。06年ジャパンネット銀行との資本業務提携に伴い、同行社外取締役就任。ヤフーのセントラルサービスカンパニー 決済金融本部長などを経て18年2月ジャパンネット銀行代表取締役社長就任。

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