突如出現、200mの陥没穴 ニュージーランドでなぜ
ニュージーランドに、巨大な陥没穴が出現した。深さは6階建てのビルを超え、長さは200メートルもある。陥没の規模が大きいため、地中深くに眠っていた6万年前の火山性土壌まで露出した。
ニュージーランドの火山学者ブラッド・スコット氏は、これまで見た中で最大規模の陥没穴だと報道機関に語った。穴は、さらに広がる可能性もある。
陥没穴が出現したのは、ニュージーランドの北島。記録的な豪雨が長く続いた後のことだった。発見したのは地元の酪農家で、もう少しで自転車ごと穴に落ちるところだったという。農場を経営するコリン・トレメイン氏はニュージーランドのニュース番組Newshubの取材に答え、「牛が穴に落ちないように柵を作るつもりだ」と話した。
陥没穴ができやすい条件は、断層に近いこと、水に溶けたり浸食されたりしやすい(溶食されやすい)岩があること、と考えられている。ニュージーランドには、大規模な断層が複数走る。今回話題となった巨大陥没穴も、多孔質の軽石でできた層上に出現した。このように突如として地面が崩壊する危険性がある場所は、ニュージーランドに限ったことではなく、世界中にある。
米国地質調査所によれば、地下水がはけにくく岩石が浸食されやすい場所で陥没穴が生まれる。地面が突然陥没する現象は、石灰岩と岩塩層が原因であることが多い。ニュージーランドにできた陥没穴は深く垂直でグランドキャニオンのような外見だが、球状の陥没穴ができることもある。
陥没穴の生成過程はこうだ。地中の岩石が水で浸食されると、上にある地面の重さを岩が支えられなくなり崩壊。こうして陥没穴ができる。土地開発が陥没穴の原因になることもある。建設や地下水の排水などで土壌が不安定になると、陥没穴ができやすくなるのだ。
また、地質的に溶食が起きやすい場所でも陥没穴が生成される。メキシコやベリーズは、溶けやすい石灰岩からなる地帯が多い。イタリア、スロベニア、クロアチア、ロシアにも、陥没穴ができやすい場所がある。中国には世界最大級の陥没穴群が存在する。一帯では、数千年をかけて巨大な岩の塔のような地形と、世界有数の洞窟群が形成されている。
(日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック 2017年5月9日付記事を再構成]
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