サンドウィッチマン 初の芸人1位「何かの間違い?」
2018年版のタレントパワーランキングでサンドウィッチマンは総合6位、芸人部門では1位となった。2008年の調査開始以来、芸人部門は明石家さんまやタモリら、名だたる大物がトップを守ってきたが、今回初めて塗り替えられた。デビュー20周年、『M‐1グランプリ』優勝から約10年たったタイミングでの快挙である。
日経エンタテインメント!が発表している「タレントパワーランキング」は、アーキテクトが3カ月に1度実施している、タレントの「認知度(顔と名前を知っている)」と「関心度(見たい・聴きたい・知りたい)」の調査を基に、2つのデータを掛け合わせて「タレントパワースコア」を算出、ランキング化したものだ。(調査の詳細は総合編の「タレントパワー、マツコ3連覇 石原さとみ4位浮上」をご覧ください)

伊達 えっ…この結果、大丈夫ですか。東北新幹線の中とかでアンケートしてません(笑)?
富澤 何かの間違いじゃなきゃいいですけど。
伊達 喜ばしいことですけどね。うん。興味を持ってくださっているというのは、すごくありがたいですね。ここ最近、仲がいいコンビみたいな企画が増えたので、そういう影響かな。みんな仲はいいけど、2人とも太ってるおっさんのコンビはいないから(笑)。
戸惑いながらもにこやかに答えてくれ、時にとぼけた表情を見せる。17年は『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『アメトーーク!』(テレビ朝日系)での「相方大好き芸人」など、普段の2人の関係性にスポットが当たる機会が多かった。加えて、レギュラー番組も好調。日曜午前中の放送だったテレビ朝日の『帰れまサンデー』が、17年4月に日曜夕方に移動してから、同時間帯視聴率で何度も1位を取るように。「秘境路線バスに乗って飲食店を見つける旅」など、目的を達成できなければ帰れない数々の旅に挑戦してきた。
ロケではゲストの素が出る
伊達 『ちびまる子ちゃん』的に、日曜夕方の気分に合っていたのかもしれません(笑)。でも過酷なんですよ。ガチでやってますし。
富澤 タカアンドトシさんのパートに比べて、きついところをあまり押し出してないんだよね。絶景の映像で、サザンオールスターズが流れたり。もう過酷じゃなくてもいいと思うんですけど(笑)。
伊達 ツラさが表現できていないんだよね、番組で(笑)。でも風光明媚でいいところだったりするので、今度家族とも来たいなと思ったり。あとは10キロとか歩くので健康にいいです。食べる企画だから、結局トントンなんですけど。
富澤 地元の人との触れ合いも楽しいですよ。番組を見てくれている方が多くて、驚きますけどね。
伊達 ゲストも面白いよね。なぜかテンションの高かった長嶋一茂さんとか。雪の中を1人でスタスタ行っちゃう蛭子能収さんは別格だったけど(笑)。
富澤 鈴木杏樹さんとか、もっと"女優女優"してるのかなと思ったら、全然そんなことなくて。
伊達 同じスプーンで「食べる?」とかね。あれはびっくりしたな。
富澤 ファンに怒られるよね(笑)。好きになっちゃいました。
伊達 一緒に疲れながら歩いてるから、素が見えるんですよ。
18年4月から同番組は『帰れマンデー見っけ隊!!』として、月曜19時の枠に進出した。意外にも、ゴールデンタイムのレギュラーは初めてだという。

伊達 念願でした。僕らは『サンドのぼんやり~ぬTV』(東北放送)や、『熱烈!ホットサンド!』(札幌テレビ放送)など、愛着のある番組でずっとぶらぶら歩き企画をやってきて、スタジオよりもロケが得意というか。最初のゴールデンレギュラーがこういう企画でよかったなと思いますし、これまでに磨いてきたロケの技を、全国ネットで発揮したいですね。それにしても、テレビ局の入社式に呼ばれたり、ゴールデンってすごいんだなって。あんな大々的な記者会見も、やったことなかったですもん。
富澤 番組関連の取材も「何回やるんだよ」と思いました(爆笑)。
緊張でトークが楽しめない
同じテレビ朝日の『イッテンモノ』(水曜24時15分)は、17年7~8月に試験的に放送され、10月からレギュラー化された番組。共演は千鳥と三四郎で、今回のタレントパワーランキング芸人部門で飛躍が目立った3組が出演している。
伊達 千鳥も三四郎もすごく面白い。千鳥には、僕らなんかすぐ抜かれますよ。ゲストとのトークはノブ君がうまく回してくれて。
富澤 最後に指名された2人が10分で即興漫才を作るんです。それがあるから正直、トークを楽しみ切れない(笑)。
伊達 富澤なんか「目立っていなかった」って理由で選ばれてね。
富澤 「漫才どうしようかな」と思ってると、口数減っちゃいますよ。本来、1人でこもってじゃないとネタを書けないタイプなんで、相当つらいです。ゲストの芸人も大体は後輩が来るから、自分がリードしなきゃいけないなって。
伊達 僕は考えないタイプだけど、富澤は完成度の高いネタを期待されてるから。あまりしゃべらなくなったからって、「テルマエ・ロマエ」(富澤の髪型に由来)のコーナーもできたし。
富澤 あんなの欲しくないよ(笑)。番組は定着してきたのかな。汗かいてやってるんだけど。テレ朝の番組は基本的に過酷なんですよ。
『10万円でできるかな』(テレビ朝日系)や『KEYABINGO!』シリーズ(日本テレビ)など、MCの役割を求められることも増えてきた。
伊達 僕らはMCで仕切ることに、全然憧れてこなかったんです。
富澤 これまでやってきていないし、MCの仕事が来ると、どうすればいいのかなって。
伊達 ロケは、ボケられるから好きなんです。漫才では富澤がボケをやることが多いけど、ロケでは僕がボケて富澤がツッコむシーンのほうが多いよね。なかなか司会に徹することができない。
富澤 伊達は自分からいきたいタイプだから、「じゃあ誰々さん」って進行していく役割になじんでこなかったというか。
伊達 立場上、MCの勉強もしないとなとは思います。さまぁ~ずさんは、がっつり司会というのはあまりないじゃないですか。ネタも含めてずっと見てきましたし、さまぁ~ずさんを目指したいです。
活動の軸は毎年開催している単独ライブだという。事務所(グレープカンパニー)では劇場を持っていないため、2人の漫才の呼吸を合わせるために、積極的に各地のライブを回っている。
伊達 僕らはコンビ芸なので。劇場のあるよしもととかと比べるとハンデはあるけど、2人でネタをやることを大切にしたいです。
富澤 うん。評価してもらえているのはそこなんじゃないかなと。
伊達 でもMCの仲間入りをするなんて、こんなちっぽけな事務所でよく入りこめたなって。地元の活動を一生懸命やったり、富澤とマネジャーと考えながら活動してきたのがよかったのかなと思います。憧れは、立川志の輔師匠や三遊亭円楽師匠。『ガッテン!』(NHK)や『笑点』(日本テレビ系)のような番組がドンとあって、各地の落語会も大人気で、ずっと面白い。そういう芸人の生き方っていいなと。本当に憧れ、ですけどね。
富澤 理想ですね。まあ、60歳、70歳になっても、漫才ができていればいいなと思います。
(ライター 内藤悦子)
[日経エンタテインメント! 2018年6月号の記事を再構成]
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