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「ネッシー不在」を1年以内に証明? 環境DNAの威力

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/6/16

ナショナルジオグラフィック日本版

ネッシー論争に決着は出るか。写真はイメージ=iStock.com / Max2611

英国スコットランドのネス湖。未確認生物ネッシーがすむとして有名な湖だ。今回、科学者チームが、ネス湖の水に含まれているDNA断片の配列を片っ端から決定することで、この湖にネッシーがすんでいる(あるいはすんでいた)かをめぐる論争に決着をつけようとしている。

ニュージーランド、オタゴ大学の遺伝学者ニール・ジェメル氏が率いる国際研究チームは、2018年4月からネス湖の水のサンプルを採取していて、6月からはサンプル中に含まれるDNAの抽出に着手する。彼らの目的の1つは、ネッシーの遺伝子探しだ。

調査結果は2019年1月までに発表される予定だが、このプロジェクトは「環境DNA(eDNA)」にスポットライトを当てることになるだろう。環境DNA分析は比較的新しい研究分野で、これまでにない洞察をもたらすことが期待されている。

ネス湖のプロジェクトがどのようなものなのか見ていこう。

■環境DNAとはなにか

生物は日々、皮膚のかけら、糞(ふん)、卵、精子などを環境に落としながら生きている。これらのゴミには生物のDNAが含まれていて、周囲の水や土に混ざってゆく。つまり、1本のガラス瓶に採取した土や水が遺伝子ライブラリになっているのだ。

生物の個体から直接採取されたのではなく、環境の中にあるこうしたDNAは、環境DNAと呼ばれる。科学者は土や水からDNAを取り出し、塩基配列を解読し、既知のDNAの塩基配列のデータベースと比較して、それを残した生物を特定できる。

近年、DNAのデータベースは爆発的に拡大しており、配列解読のコストも激減している。米国立衛生研究所(NIH)が運営する巨大なDNAデータベースGenBankに登録されているDNAの塩基配列データは、1982年以降、18カ月ごとに倍増している。現在では、塩基配列では2億以上、塩基対の数としては260兆を超えるデータが蓄積されている。もしデータベースにない生物のDNAがある場合、その種を特定できずとも、未知の生物がいるかどうかははっきりする。

■環境DNAは科学の役に立つ

生態系全体のスナップショットをいちどに得られる環境DNA分析は、非常に強力な技術だ。

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