――食費をカットしている家庭の食事情はどうなっていますか。

「親子ともに食の質が下がっている世帯が増えていますが、子どもにだけは質が高い食を与えようと努力している親もいます。親が正しい知識を持てば子どもの食の質が向上すると主張する人もいますが、それが当てはまる親は一部でしょう。知識はあるけれども経済的な理由で子どもに質の高い食事を提供できない家庭が多いのです」

――新潟県立大学の村山伸子教授らとの共編著『子どもの貧困と食格差』(18年4月、大月書店)では、世帯の経済的な要因と子どもの食事との関連を明らかにする独自の研究成果を紹介しています。どんな結果が出たのでしょうか。

「調査期間は2013年10~12月、対象は東日本4県6市町村の小学校19校の5年生1447人で、世帯収入の回答があった924人を解析しました。世帯収入が低い子どもは、そうでない子どもに比べて朝食抜きになりがちで、食事の内容が主食に偏り、野菜やたんぱく質源となる食品の摂取量が少なく、インスタントや加工品などの簡単な食事が多いことが分かりました」

――打開策はありますか。

「厳しい状況にある子どもたちの食生活にとって大きな役割を担っているのは、やはり食を直接、子どもに届けられる学校給食です。公立中学校の完全給食の実施率が上昇しているのはよい傾向ですが、地域による差はなお大きいのが実情です。また、夜間の定時制高校での実施率は逆に下がっています。定時制高校は、勤労学生の夕食を支援するために給食を実施してきた歴史があります。今日でも、給食を実施する意義は大きいはずです」(編集委員 前田裕之)

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