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グルメ・トラベル

凍らぬ滝、不思議な池 湧水を巡る山形・遊佐の旅 水津陽子のちょっとディープ旅

2018/6/15

■沈んだ倒木が朽ちない不思議な湧水の池

さて、遊佐町にある7つの湧水地を代表するスポットといえば「丸池様」と「牛渡(うしわたり)川」です。丸池様は100%湧水からできた池で、水の色は幻想的なエメラルドグリーン。光の加減によって微妙に色を変えます。水は冷たく澄み、池に沈んだ倒木は朽ちず、池底に残ります。

「丸池様」は湧水だけでできた池。池に沈んでいる倒木が腐らない

ここは鳥海山大物忌神社の境内地にあり、古くから信仰を集めてきた末社の丸池神社が鎮座していて、池そのものがご神体となっています。神社の本殿は池を拝むような形に配置されており、8月7日の例祭では本殿向かいの拝殿で御頭舞(獅子舞)や巫女舞が奉納されます。

すぐそばには鳥海山の伏流水が湧き出る「牛渡川」が流れており、驚くほどの透明度で川の底まで見通せます。水底には清流で生育する梅花藻(バイカモ)の緑が流れを受けてゆらゆらと揺れ、初夏には可憐な白い花を咲かせます。水の清らかさはため息が出るほど美しく、心が洗われます。

牛渡川の流れに揺らぐバイカモ。初夏には可憐な白い花を咲かせる(写真右:遊佐鳥海観光協会)

■湧水が育むサケの里と必見のパワースポット

丸池様の近くには、清らかな湧水を生かして川ザケのふ化に取り組む、箕輪鮭孵化場があります(4月から9月は休業)。月光川水系では1908年(明治41年)にふ化場を設置。1951年から現在の場所で人工ふ化に取り組んできました。サケは湧水を好んで産卵するため、箕輪は最適地なのです。

ふ化場では体長5~7センチメートルまで育てたサケを2月から3月に放流。旅立ったサケはオホーツク海、北太平洋とベーリング海を旅して3~5年後、生まれたこの川に戻ってきます。10月ごろからの遡上の時期になると、ふ化場は採捕を見学する人、イクラやサケの切り身などを求めに来る人でにぎわいます。

孵化場から約3キロメートルにあるのが、コケにおおわれた梵字坂が幻想的な剱龍山永泉寺(ようせんじ)。遊佐随一のパワースポットです。杉の巨木に囲まれ、山門には仁王像、格天井にはひときわ豪華な極彩色の天井画が描かれています。

コケむした「梵字坂」が美しい永泉寺
梵字坂を上がった先には朱赤の山門があり、仁王像や豪華な天井画が見られる。その先には開山以来の建造物や、その後に建立された開山堂などがある

永泉寺には、「稲荷大明神が異変を予告する」「御開山の戒めを守って、無声池の蛙は声を出さない」などの七不思議伝説のほか、山形県指定の天然記念物「ハリモミ」などの史跡も多く、散策したり、住職のお話をお聞きしたりしてゆっくり過ごしたい場所です。予約をすれば座禅体験も可能。宿泊も要相談です。6月の大般若祈祷会ではミニコンサートも開催されます(今年は6月17日午前11時ごろから)。

このエリアの最寄り駅となるJR吹浦駅の近くには、「十六羅漢岩」や「出羽二見」などの絶景スポットや、鳥海山や日本海の眺望が美しい「鳥海温泉 遊楽里」もあります。

(左)「十六羅漢岩」は、1864年から5年をかけて22体の磨崖仏を完工(山形県提供)(右)「出羽二見」。しめ縄が張られた岩の間に落ちる夕日が美しい(庄内観光コンベンション協会提供)

遊佐町へは空路なら羽田から庄内空港まで1時間、リムジンバスで約40分でJR酒田駅へ行き、そこから普通電車で吹浦駅まで約20分です。酒田へは渋谷・新宿・池袋などから高速バスもあり、金曜の夜に東京を出れば土曜の朝に酒田に到着。日曜日の午後までは遊佐で過ごせます。帰りは庄内空港から帰るのもいいでしょう。

水津陽子
合同会社フォーティR&C代表。経営コンサルタント。地域資源を生かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究などを行う。

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