収益面でアマゾンを支える事業は何か。著者は事業別の「セグメント情報」から解き明かしていきます。それが、企業向けのクラウドサービスを提供するグループ会社「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」です。

AWS事業の売上は2017年12月期まで31億ドル→46億ドル→78億ドル→122億ドル→174億ドルと急ピッチで成長しています。2017年12月期には連結売上の9.8%と1割近くを占めるまでになりました。
 それより重要なのは、AWS事業が大きく利益に貢献していることです。2017年12月期までの営業利益は4億ドル→15億ドル→31億ドル→43億ドルと急伸し、営業利益率も9.9%→19.1%→25.4%→24.8%とほぼ毎年高めています。
(2章 セグメントに表れる意外な素顔 アマゾン&HIS&ベネッセ 107ページ)

AWSは、すでに世界のクラウド市場でトップのシェア3割を占めているといいます。消費者向けの事業と違って目立ちませんし、個別の損益を公開し始めたのが15年4月からなので、一般にはあまり知られていません。しかし、セグメント情報に注目すれば、約1兆9000億円の売上高に対し、4700億円に迫る営業利益をあげる「超高収益企業」の姿が浮かび上がってくるのです。

会社の変身ぶり、セグメント情報で分かる

生き残るため、必要に迫られて変革した企業も多いでしょう。その軌跡もセグメント情報から読み取れます。例えば、日立造船という会社は現在、日立グループには属しておらず、造船事業も手掛けていません。今の主軸は、ごみ処理発電や海水淡水化などの環境エンジニアリング事業に変わっています。

2002年3月期に1323億円だった船舶・海洋事業セグメント売上は2006年3月期に、257億円まで急降下していきます。(中略)
 2002年10月に日立造船は、同社と日本鋼管(2003年4月にJFEエンジニアリングに社名変更)が50%ずつ出資する共同出資会社ユニバーサル造船に造船事業を譲渡することによって、造船事業を分離しました。この譲渡により2003年3月期、投資キャッシュフローに247億円のキャッシュイン(固定資産売却収入)が計上されています。
(1章 本業消滅! 生き延びるために変身 富士フイルム&日立造船 69ページ)

バランスシートをみれば、当時の日立造船の自己資本の比率が10%あるかないかという非常に低い状態だったことも見て取れると著者は述べます。資産や事業の売却で資金を捻出せざるを得ない状況だったのです。結果として船舶・海洋事業からは撤退したものの、社名を変えていないのは「先人への敬意」からのようです。