平日は仕事のことが気になって神経がピリピリするため熟睡しにくいという人、例えば「寝つきに1時間以上かかる」「途中で起きてしまう」といった不眠症状が、週に何回も起こる人は、心療内科、精神科、もしくは内科などに相談し、睡眠導入剤を処方してもらうのもお勧めです。「毎日睡眠薬を飲むのは依存性が気になって抵抗がある」という人もいるかもしれませんが、週1~2日服用して深い睡眠をとるだけでも体の疲れはかなり違ってきます。

(2)食事はできるだけ時間をかける

また昼食や夕食を、できるだけ時間をかけてゆっくり食べて、自律神経のバランスを整えましょう。仕事中は多忙で気が抜けないという過緊張気味の人でも、ランチや夕食の時間を長めにとることで、交感神経を緩め副交感神経を優位にしてリラックスを図れます。

食事時にまで仕事の話を持ち込んでビジネスランチをするのはしばらくやめて、できれば一人で栄養バランスの整った定食をじっくり味わって食べてみませんか? 夜の飲み会もできるだけ減らして、家でゆっくりと夕食をとる時間を増やしてください。

ゆったりとした食事時間を確保できたら、「春のメンタル不調 意識的な『緩み時間』でケアを」でご紹介したマインドフルネス瞑想(めいそう)の中の「イーティング瞑想」を取り入れてみるのもお勧めです。イーティング瞑想で五感を使ってじっくりと食べ物を味わって食べることで、心が心配や不安から離れて「今ここ」に戻り、より安定しやすくなります。もちろん、食事メニューはたんぱく質、炭水化物、ビタミン・ミネラルがバランス良く含まれた疲労回復効果の高い内容にすることもお忘れなく。

(3)移動時間をリラックスタイムに

電車などの乗り物に乗る移動時間には、交感神経をさらに活性化してしまうスマートフォン(スマホ)や交流サイト(SNS)などに興じるのはやめて脳のリラックスに努めましょう。流れる景色をゆったりと眺めたり、目をつぶってゆったりとした音楽を聴いたり、静かに瞑想をするのもよいでしょう。

軽く目を閉じて、鼻先を出入りする空気の流れをじっくり感じる「呼吸瞑想」(マインドフルネス瞑想の一種)を数分行うだけでも交感神経系の緊張を緩める効果が期待できます。空気が鼻孔から入っていき、また鼻孔から出ていく。呼吸瞑想では、この感覚を目を閉じてひたすら感じていくだけでOKです。何か思考や関係ないことが浮かんだら、「思考した」「考えた」と気づいて、また呼吸の感覚に意識を戻します。座禅のように無になろうと頑張る必要は全くありませんので、電車でもオフィスでも自宅でも一人になれる空間があればどこでも可能です。目まぐるしい外界の刺激からシャットダウンされますので、心が落ち着きやすくなるため筆者もしょっちゅう実践しています。ぜひ気軽に試してみてください。

今回は、平日にできる隠れ疲労を解消するヒントを紹介しました。春からの多彩な変化によって緊張疲れをしている心と体をいかに意識してリラックスし癒やせるかが、隠れ疲労解消のコツです。次回「隠れ疲労ケアで夏うつ予防 あえて何もしない休日を」では、休日の過ごし方を提案したいと思います。どうぞお楽しみに。

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奥田弘美
 精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント。1992年山口大学医学部卒。精神科医および都内20カ所の産業医として働く人を心と体の両面からサポートしている。著書は「1分間どこでもマインドフルネス」(日本能率協会マネジメントセンター)、「何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから」(扶桑社)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想の普及も行っている。

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