メンター制が男性幹部を変える 女性社員の応援団に

2018/5/29
あいおいニッセイ同和損保・東京自動車営業第三部長の久保田敏弘さん(53)
あいおいニッセイ同和損保・東京自動車営業第三部長の久保田敏弘さん(53)

女性社員の仕事上の悩みに男性幹部社員がマンツーマンで答えるメンター制度。女性のキャリアアップ支援を目的とした仕組みだが、相談に乗る男性側にも副次的効果があるという。相談に乗るなかで職場での女性の課題に理解が深まり、“女性活躍応援団”へと生まれ変わる。メンター制度を男性の意識改革に戦略的に活用する企業も出てきている。

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面談で理解深め管理職育成に力 あいおいニッセイ同和損保・東京自動車営業第三部長の久保田敏弘さん

「若手女性が辞めていく。私に何ができるでしょうか」。40代女性の真剣な問いかけに、あいおいニッセイ同和損保の東京自動車営業第三部の久保田敏弘部長(53)は襟を正した。2016年度に会社が運営するメンター制度に協力し、1年にわたって定期的に助言した。「職場の課題を的確に見ているものだと感心した」と当時を振り返る。

久保田さんは営業一筋。外回りする男性を内勤の女性がサポートする――そんな環境で働いてきた。「仕事の回し方を覚えれば相応の収入も保障される。女性社員はそれで十分満足だろう」。そう考えていたが、面談を重ねるごとに見方が変わった。

その女性には人材育成の意識を強く持ち、後輩に積極的に声をかけるように助言した。今は管理職を目指して仕事に取り組んでいるという。一方、久保田さんも行動を改めた。部下31人中、20人が女性。そこから管理職を育てようと、積極的に仕事を任せている。「僕のような50代男性の考え方は古い。女性との意識ギャップに気付いた」

育休の全面支援を指示 スミリンウッドピース社長の峰元博史さん

スミリンウッドピース社長の峰元博史さん(59)

住友林業の峰元博史さん(59)は16~17年度に2人の女性社員のメンターを務めた。1回3時間ほどの面談をそれぞれ10回。「家庭との両立の難しさや職務がなかなか変わらない閉塞感。女性社員の胸のうちを初めてじっくり聞いた」

この体験が管理職として役立った。現在は子会社のスミリンウッドピース社長だが、当時は大阪法人営業部の副部長。2人の女性部下が偶然ほぼ同時期に妊娠、育児休業を取ることになった。恐る恐る報告に来た女性社員に「おめでとう。よかったね」と即座に声をかけられた。

部内に「法人営業部をワークライフバランス職場の先進事例にする」と宣言し、全面支援を指示したという。「事前に妊娠を打ち明けた男性の先輩には『困るよ』と言われたらしい。メンターをする前だったら私も『仕事に穴が空く』と職場の心配を先に考えたと思う」