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サメとワニが海で一緒に食事 ごちそうは死んだクジラ

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/6/10

ナショナルジオグラフィック日本版

 ドローンを使った空撮で、体長3メートルの2匹のイタチザメと体長4メートルのイリエワニが、死んだクジラを食べている様子が撮影された。わかっているかぎり、ワニがクジラを食べる様子が初めて記録された貴重な映像だ。

 2017年9月、チャーター便を運行する会社が西オーストラリア州キンバリー沖に浮かぶザトウクジラの死骸を見つけた。クジラの体長は15メートル近く。ドローンでクジラを撮影した動画をソーシャルメディアで見た、サメの専門家オースティン・ギャラガー氏はサメとワニがそろってクジラを食べていることに気づいた。

 海にすむ生物にとっては、死んだクジラはバイキング料理のようなもの。自然とたくさんの動物が集まって来る。だから、普段は顔を合わせないような動物同士が居合わせることもある。ギャラガー氏によれば、こうした機会が、野生動物の行動データを収集するのに役立つという。同氏は、米ワシントンDCでサメの保護活動をおこなっている非営利団体「Beneath the Waves」で科学者兼CEOを務めている。

 「何より興味深いのは、イタチザメとイリエワニという、そもそも顔を合わせることがない最上位の捕食者が、同じ場所、同じ時間に居合わせたことです」とギャラガー氏は説明する。同氏は、この出来事についてチームで研究をまとめ、学術誌「Journal of Ethology」に発表した。

 映像からは、イタチザメとイリエワニが、争うことなく、クジラを食べていることがわかる。「彼らは、お互いを尊重し合っているように見えます」とギャラガー氏は話す。

 「イタチザメは、食べられるものは何でも食べてしまうことで知られています。動物の死骸も例外ではなく、とてもよく食べます」。こう話すのは、米カリフォルニア州ラホヤにある南西水産科学センターの栄養生態学者、アントネラ・プレティ氏だ。一方で、イリエワニが死骸を食べる食性があるかは、わかっていない。

 ワニとサメが食べ物を巡って争わないのは、クジラの大きさのせいかもしれない。20トンもある死骸なのだから、食べ損なうことはまずないのだ。「食べものが十分にあるなら、無益な争いにエネルギーを浪費するよりも、できるだけ早くたくさん食べることに精を出すほうがサメにとっては自然なことなのでしょう」とプレティ氏は話す。ギャラガー氏も、動画のイタチザメは満腹になるまで食べたようだと指摘した。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年5月1日付記事を再構成]

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