sabotageは「破壊工作」 カタカナ英語に潜む大誤解
デイビッド・セイン「間違えやすい英語」(20)office
言葉の使い方を間違えて相手に誤解されてしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が間違えやすい英語の使い方を解説します。今回は、カタカナ英語のワナについて。「サボる」や「ノルマ」はそのまま英語にはなりません。
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勉強するときはいつも完全を目指す。しかし会話をするときは通じることを目指す。これが英会話には必要なポイントです。相手を前にして英語を話すときは、完璧な英語でなくても構いません。間違いがあってもいいのです。フレンドリーに笑顔で話せば、不完全さは補われます。間違いを恐れず英語を話しましょう。そして勉強するときは完全を目指しましょう。
カタカナ英語の功罪は、英語を学んでいる人たちにとってはなかなか興味深いトピックです。罪の方は時として話の方向性を変えたり、とんでもない誤解を引き起こしたりします。ナンシーはヒロシに対して「電話しても出なかったよね」と言います。ヒロシの答えは「会社をさぼっちゃった」。さぼる? サボタージュ? これは危険すぎる間違いなのです。
それはこんな会話でした。
Hiroshi: Oh, sorry. I sabotaged my office.
Nancy: What?! You're going to get arrested!
Hiroshi: Arrested? For not going to work?
ヒロシは期せずしてこのように言ったことになります。
ヒロシ:ああ、すみませんでした。会社に(爆弾など破壊工作を)仕掛けたんで。
ナンシー:何ですって? あなた、逮捕されるわよ!
ヒロシ:逮捕される? 仕事に行かなかっただけで?
「ノルマがきつくって」と言っても外国人には分かってもらえません。実はノルマはロシア語。それを英語で言うなら、quota. 「今月はノルマがきつくって」と言うならI have a full quota this month. このようにカタカナ英語は時としてチンプンカンプンです。でも「さぼる」sabotage はそんな悠長な話ではありません。sabotageとは動詞であれば「破壊工作/妨害工作を行う」こと。「学校/会社をさぼる」などということとは次元が違います。
では、どう言えばよかったのでしょう?