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食の豆知識

古代日本人も味わった「醍醐味」 チーズの歴史を探る

2018/5/23

古代に食べられたと推測される「蘇」

「醍醐味」という言葉がある。実はチーズから誕生した言葉だということをご存じだろうか。醍醐味とチーズの関係を歴史からひもといてみよう。

 チーズとは主に牛乳を発酵させて固めた食べ物のことを指す。良質なたんぱく質や脂肪、ミネラル、カルシウムを含み栄養豊富であるだけでなく、加熱しなくてもそのまま食べられるチーズは忙しい現代人の味方と言える。時間がない朝もパンとチーズを食べれば短時間で栄養補給できる。加熱すればとろーりととろける性質から、交流サイト(SNS)映えを狙ったチーズタッカルビという流行食の立役者ともなった。世界の歴史を遡ると、チーズは今から5000年前にはすでに作られていたとされる。では、日本ではいつ頃から食べられていたのだろうか?

 日本でチーズが作られるきっかけになったのは、6世紀に仏教伝来とともに牛乳の加工技術が伝わったことだとみられる。700年ころには、「蘇(そ)」と呼ばれる乳製品が宮中に納められたという記録がある。この「蘇」こそ古代のチーズ、日本最古のチーズと考えられる食品だ。作り方ははっきり分かっておらず、乳を数時間煮詰めて固めたものであるとか、熱した時に表面に張る皮膜を使った湯葉のようなものであるとか、いくつかの説がある。

 栄養豊富な牛乳から作った「蘇」は今でいえばサプリメントのようなものだったのだろう。「蘇」は貴族だけが食べることができたぜいたく品だったと考えられ、貴族の間では「食べる薬」として重宝されたという。さて「蘇」はいったいどんな味だったのだろうか。ずっと気にかかっていた私は、奈良で古代の「蘇」を再現した料理が食べられると知り、奈良市内にある「奈良パークホテル」をたずねてみた。

奈良パークホテル「天平の抄」の古代料理

 ホテルでは古代料理を再現した「天平の宴」という料理が食べられる。これは平城宮跡から出土した木簡や文献をもとに、古代の宮廷料理を再現したユニークな料理だ。古代チーズのほか、古代のコメや干物、菓子などが多様な古代食が再現されている。ホテル内の「レストラン萬佳」では簡易版のランチメニューも提供されている。こちらでも「蘇」を味わうことができるので、実際に食べてみた。

 牛乳を数時間煮詰めて作った「蘇」は、食感はモソモソしているものの、ほんのりチーズの香りがする。なんとも不思議な味わいだ。

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