日経ビジネスアソシエ

2018/5/19

オトナのスキルアップ入門

「カタカナ言葉」を習得して語彙力を高める

知的に話すためのもう1つの方向性は、「語彙(ボキャブラリー)を増やす」ことだ。

状況を的確な言葉で表現できなければ、知的には見えない。あるいは相手の発する言葉の意味を理解できなければ、曖昧な受け答えしかできない。いくら取り繕ったつもりでも、相手には「分かっていないな(=知的ではないな)」と伝わる。

語彙を増やす王道といえば「読書」。日々新聞を読んでいれば、基礎的な語彙を自然に増やすこともできる。しかし、それだけでは足りない。

特に注意すべきは、ビジネスの現場で増え続ける「カタカナ言葉」だ。「コンプライアンス」「コンセプト」「リスペクト」「ハラスメント」などは、仕事上の会話で当たり前のように使われている。いずれも日本語に変換できないことはないが、ややニュアンスが変わるという特徴がある。

あるいは 「デフォルト」の場合、金融用語としては「債務不履行」という意味だが、コンピューター用語では「標準設定」という意味もある。以前、大阪のテレビ番組に出演した際、ある出演者から「大阪はうどん定食(ご飯付き)がデフォ」と伺った。一瞬、かの地ではうどんに人格があるのかと勘違いして驚いたのは、ここだけの話。

覚えた言葉を会話で使ってみる

新しい言葉は、生きた会話の中で習得する必要がある。上司や取引先の言葉の中に聞き慣れない単語があれば、すかさずメモしたり、スマートフォンに打ち込んだりしてインターネットで調べてみよう。

概要をつかんだら、できるだけ早く、自分の会話の中で使ってみること。2~3回も使えば、自分の語彙として定着するはずだ。

もっと「スパーリング」したければ、特定の業界の関係者が集まる飲み会などに、機会を見つけて参加してみよう。そういう場は、業界話で盛り上がるものだ。生きた業界用語が縦横に飛び交っているはずだ。最新の語彙を吸収するために、これ以上の教室はない。

「知的」に見せる話し方3つのポイント
1 自分の話し方を「客観的」に知ろう
 自分の発言を録音して聞いてみると、きっと驚きと恥ずかしさに包まれ、「何とかしたい」と思えるようになる。口調や口癖などはここでチェックしよう。
2 「情報」と「感情」を分けよう
 「マジデスゴイ」といった感情表現だけでは、冷静な会話にならない。新聞記事の内容を自分の言葉で伝えられるよう、日々トレーニングしよう。情報を踏まえて意見を述べれば、誰もが聞く耳を持ってくれるはずだ。
3 貪欲に「語彙」を増やそう
 本や新聞、仕事上の会話で知らない言葉に出合ったら、直ちにチェックしよう。知らない言葉が飛び交っていそうな場にあえて出向く手もある。会話の中で積極的に使ってみることも忘れずに。

(まとめ 島田栄昭)

齋藤孝

 1960年静岡県生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程等を経て現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。2001年に出した『声に出して読みたい日本語』(草思社・毎日出版文化賞特別賞)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームに。ビジネスに役立つ「人付き合いのコツ」が紹介されている『大人の人間関係力』(日経BP社)が好評発売中。

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