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セラピー犬、人を癒やすのにストレスを感じないのか

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/5/19

病院にいるときと自宅にいるときで、研究に参加したイヌのコルチゾール値に変化は見られず、セラピー犬が特にストレスを受けているわけではないことが明らかになった。

■イヌが特に喜ぶ活動も

セラピー犬の福祉に関する論文を対象にした2017年の評論の著者、リサ・マリア・グレンク氏によれば、この結果は従来の研究と一致しているという。

オーストリア、ウィーン獣医科大学のグレンク氏は、マッカラ氏らの研究を「よく計画されている」とし、その詳しさは特に価値が高いと話す。「従来の研究は、セラピーに際して犬が何をしたかの情報がないか、限定的でした。そのため、イヌのストレスレベルを上昇させた活動が何なのかを特定しにくかったのです」

次の疑問は、セラピー犬が本当に務めを楽しんでいるのか否かだとグレンク氏。そして、小児がん患者を対象とした今回の研究は、いくつかのヒントを示している。

例えば、さまざまな活動のうち、イヌが特に喜ぶ様子を見せたものがあった。子どもがイヌに話しかけたり、イヌ用のおもちゃで遊んだりした場合だ。一方で、子どもがイヌをブラッシングしたり、イヌの絵を描いたりしたときは、前者ほど友好的ではなかった。

「イヌにとっては、触れ合いの中で特に楽しい活動があると言っていいでしょう」と、マッカラ氏はこの結果について指摘している。

「訓練士にとっては有益な情報です。イヌが楽しめるであろう活動に重点を置くことができますから」

■適性を見極めて

そのためには、時々わけがわからなくなるように見えることがあっても、セラピー犬を入念に観察し続ける必要がある。例えば今回の研究では、最も強いストレス行動を示したイヌが、最も強い友好的振る舞いも見せることが判明した。単に感情を他より強く示すイヌがいるのかもしれない。

どんな職業でもそうだが、適切な候補犬を選ぶことが大事だとマッカラ氏は付け加えた。ペットが示す愛情を地域社会と分かち合おうとする人は多いが、「だからといってイヌがその手の仕事に向いているとは限りません」とマッカラ氏。

したがって、セラピー犬の訓練士や認証機関、そして飼い主は、イヌがセラピーに耐えられるかだけでなく、やる気の有無も見る必要がある。

「イヌは熱心に相手の注意を引こうとするでしょうか。それとも、人と触れ合うのにおやつで誘う必要があるでしょうか?」

「セラピーの相手を訪問する場合、お互いに利益のある交流でなければなりません。したがって、イヌが自分の務めを本当に気に入っているかどうかが重要です」

(文 Linda Lombardi、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2018年5月8日付]

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