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九州 味めぐり

茶の世界を感じる寿司 福岡・久留米に 鮨 よし田

日本経済新聞西部夕刊

2018/5/10

 久留米に茶の世界を感じる寿司(すし)屋がある。所作にしろ、たたずまいにしろ、何かを得た自信がにじむ。ご主人、吉田健司さんは、幼い時から人に褒められたことがないという。なので料理の世界で一生懸命修業してお客さんの笑顔と「うまい!」と褒められる喜びを求めてきたと語る。

イラスト・広野司

 カウンター9席のみ。店に訪れるお客さんとの一期一会に、一体感を求めている。日々新たな料理の創造を忘れないように、ほぼ毎日、福岡市の柳橋市場へ材料の買い出しに行く。

 コースのみ1万3000円。前菜が5~7種、にぎり10~12貫。貝柱をパリパリの有明海の海苔(のり)にはさむ相性の良さ、蒸し蛤(はまぐり)のほのかな甘味。豊前の赤貝や鳥貝(とりがい)に澄んだ海を感じる。アワビのともあえの濃厚さ。北海道の生アンコウ肝のクリーミーさ。そして炭火で焼いた真ガツオのタタキ。口の中で豊かな味が広がっていく。箸休めのつゆは、魚の骨を焼いてかつお節と煮込み、長崎の岩のりが添えてある。

 4年前に改装した。水拭きと、から拭きを交互に繰り返す吉野ひのきの一枚カウンターの白さが新鮮だ。日本酒も地酒を月ごとに6種そろえている。ロックを注文すると、厳正な温度管理による澄み切った氷が酒を引き立てる。

 接待などでなく、じっくりと季節の魚を味わうために行きたい店だ。

(大迫 益男)

 〈すし よしだ〉福岡県久留米市六ツ門20の10江利田ビル 電話0942・39・3367

九州 味めぐり」では食べ歩きが大好きな地元在住のライターや日経記者が見つけた九州・沖縄のとっておきの味を紹介します。

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