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時代に追いやられ天空に登った幻のサル 古文献で判明

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/5/12

ナショナルジオグラフィック日本版

美しい毛に特徴的な顔のキンシコウは、古代中国の史官たちを魅了した(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)

 中国の山岳地帯の深い森にすむシシバナザル。美しい毛並み、鮮やかな青色の顔に小さな鼻をもつキンシコウも、このシシバナザルの一種で、天空の秘境に暮らすサルとして紹介されることもある。先ごろ、霊長類学者たちは、中国の古代文献をひもとくなかで、かつては中国の広い範囲に分布していたシシバナザルが、時代とともに山奥へと徐々に追いやられていった様子が記録されていることを見つけた。

 シシバナサルに関する最古の記録は、紀元前3世紀に遡る。「爾雅(じが)」という中国の辞典に「おかしな鼻に長い尾の動物」と書かれている。この爾雅をはじめとする古い文献から、かつては中国の東部、中央部、南部の低地と高地に広く分布していたことがわかるが、その分布域は長い年月をかけて少しずつ縮小してきた。特に、西暦1700年前後に中国で人口の過密化が進むと、文献のなかのシシバナサルも、中国のごく限られた地域でしか見られなくなっていった。

中国の文献に残る最古のシシバナサルの記述は、2200年前の「おかしな鼻に長い尾の動物」という文だった。(PHOTOGRAPH BY JED WEINGARTEN, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

 「時の経過とともに、分布域がどんどん狭まっています。中国東部、南東部、中央部では完全に姿を消してしまいました」と、米イリノイ大学の霊長類学者で論文共著者のポール・ガーバー氏は言う。

■あと50年で絶滅してしまう?

 現在、中国にいる4種のシシバナザルは、すべて西部と南西部の人里離れた山地に生息している。しかも、ここでさえ個体群の規模は小さく、脅威が迫っている。キシュウシシバナザルは、野生に800匹しか生存していない。

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