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問い続ける人の思考法

プレーの先のマネジメント 見すえる異色Jリーガー サッカーJ2 徳島ヴォルティスの井筒陸也選手(上)

2018/5/13

サッカーJ2 徳島ヴォルティスの井筒陸也選手

 予防医学研究者の石川善樹氏が、自らの価値を世に問い続けている人々の思考法に迫る対談シリーズ。今回はサッカーJ2の徳島ヴォルティスに所属する井筒陸也選手に聞く。学生サッカーの主要タイトルを総ナメにした関西学院大学時代は、自分のプレーよりチームをどう勝たせるか、マネジメントのことばかり考えていた。Jリーガーとなった今もスポーツとビジネスを常に比較しながら考えるという。

■日本一なのに「意味のない勝利」

石川 井筒さんはツイッターやブログなどで積極的に情報を発信しています。中でも読者のさまざまな悩みにネット上で答える「質問箱」のコーナーは、サッカー以外の哲学的な質問にも図解を交えて丁寧に回答していて、スポーツ選手としては珍しい試みだと思います。なぜ、こうした取り組みを始めたのですか。

井筒 プロの選手なんだからサッカーに集中し、オフの日は心身を休めろ、というのがサッカー界の支配的な価値観です。しかし、これまでの経験から、別の世界で知ったことや人と会うことは必ずサッカーにも生きてきます。それを多くの選手に伝えたくて、あえていろんなことに挑戦しているし、それがサッカーを辞めた後のセカンドキャリアにも自然につながると思っています。

石川 Jリーグができてサッカーチームは非常に増えましたが、日本代表になれる選手はほんの一握りです。もし代表になれたとしても、引退後にコーチや監督、あるいは解説者として食べていける人はさらに限られます。引退後の面倒を見てくれるわけでもないのに、選手時代はサッカーだけに集中しろというのは、いささか無責任かもしれませんね。これは一般の企業にも言えることかもしれませんが。

井筒 スポーツの世界は、働いてパフォーマンスを出せば給料は上がるし、出せなければ下がる。ただ、経験を重ねることで、その人のサッカーに関する知見や人のつながりといった資産は右肩上がりになるはずです。僕はいろんな角度からサッカーを見ることで、自分の付加価値を高めたいと考えているのです。

石川 ブログに関して1つ聞きたかったことがあります。井筒さんは関西学院大学の主将として、4年生のときには関西選手権、関西学生サッカーリーグ、総理大臣杯、インカレで優勝し、史上初の4冠を達成しました。しかし、総理大臣杯での優勝は「意味のない勝利」だったと最近、ブログで書いていましたね。あれはどういう意味だったのでしょう。

井筒 ブログは大炎上しました(笑)。実は3年の時も同じ大会で決勝戦に進んだのですが、いざピッチに立ってふと考えたのです。成山一郎監督がめざす個々人の人間としての成長や、チーム全体の結束力は高まったのか、このまま優勝してしまっていいのか、と。そんな思いのまま試合に入ってしまい、結局、ディフェンダーである自分のミスで負けてしまった。そんな失敗があったにもかかわらず、4年生で主将として本当に日本一になったとき、いざ下級生たちの顔を見たら、心から喜んでいる表情ではなかった。だから余計にがく然としたのです。

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