グルメクラブ powered by 大人のレストランガイド

Food Selection

料理の先に「平和見ている」 生江シェフのイマジン ガストロノミー最前線(5)

2018/5/15

西と東と~お野菜たち

「いつも目の前にピースマークがある」と「レフェルヴェソンス」(東京都港区)の生江史伸シェフは言う。料理人の立場で、店の枠組みを超えて、積極的に社会と関わり、より良き社会を夢想する。そんな姿に新しい料理人像が見えてくる。

 2015年、生江シェフは多忙を極めた。

 ミシュランの星を増やし、レストランランキングの順位を上げるといった店の評価の上昇に加えて、レストラン外の仕事の要請が引きも切らなかったためである。彼は頼りにされている――間違いなくそう言える。

 持ち込まれる仕事は大きく4つ。(1)国内外の料理学会やシンポジウムへの参加(2)海外シェフやジャーナリストのための日本食ガイド(3)海外シェフとのコラボ(4)産地の視察および生産者との交流。

 例えば、世界のトップレストラン「noma」が東京で行った1カ月余に及ぶ特別営業に際して、食材のアテンド役を務めた。「山へ行きたい」という要望に応えて、白神山地や長野の山奥へ導き、発酵の研究に余念がない彼らのために“発酵の聖地”と称される料理店や蔵元へも案内した。一方、世界規模の食カンファレンス「ワールド・オブ・フレーバー」に参加すべく米国ナパへ、「スローフード・アジアパシフィック・フェスティバル」で韓国へと、海外での活動も少なくない。

今、レフェルヴェソンスでは料理の最後を抹茶で締めくくる。茶道の精神である「一座建立」(亭主と客の心の通じ合いと一体感)と「和」(調和と平和)の意味を込めてのことだ

■社会との関わりを開拓する

 料理人であることが望ましい。が、料理を作るだけでは済まない。今、そういう仕事が増えている。自然環境や人の生き方を考える上で食が鍵を握るのは社会の共通認識だが、料理人の知見を生かすにはロジカルに語れる、概念を伝えられる人材が要る。そんな役回りが彼に集中する。

<料理解説>
「人とのつながりを表現している」と語るスペシャリテ「西と東と~お野菜たち」。料理と共に「敬愛するすばらしきArtisan(職人)たち」と題して生産者の名前が記されたカードを手渡される。野菜は40~45種。個々の特性に合わせて料理がなされている

グルメクラブ新着記事

ALL CHANNEL