背景には、「上司と部下の間で、パフォーマンスに対する認識のギャップがあります」と橋本氏は指摘する。若手の社員は自分が採用されたり登用されたりしたのは、結果が出せるから、つまり「現在価値」で評価されたと思い込む。しかし、上司の側は今後の成長やポテンシャルである「将来価値」を評価している。従って、上司は部下が失敗することを織り込み済みであり、逆に失敗から学んでもらうことを期待しているというわけだ。「会社はあなたの伸びしろを見ていることに早く気づいてほしい」と橋本氏は呼びかける。

30歳代前半までに社内の「定評」を勝ち取る

それでは、新たな職場で五月病を克服し、仕事のパフォーマンスを高めていくにはどうすればよいか。橋本氏は「一言でいうと、『この人できそう』と周りに思わせること。言い換えれば『定評』を勝ち取ること」だという。

クレイア・コンサルティングの橋本卓執行役員兼ディレクター

橋本氏によると、日本企業で出世する人の多くは入社時の評価が必ずしも高くない。「こいつはできる」という定評がほぼ確立されるのは、30歳代前半だという。では、その定評はどうやって決まるか。面倒な仕事にどう向き合ったか、火中の栗を拾うことができるか、緊急事態に冷静に対処できたか、つまらない仕事も手を抜かなかったか、などを会社は見ているという。また、さまざまなタイプの上司の下で働かせることで、対応能力も評価している。「失敗してもいい。大事なのは、どう対応したかです」

具体的には、どんなスキルや能力を身に付ければよいのだろう。橋本氏は次の3つを挙げる。

1つは結果を素直に受け止める能力。課題を明確にすることが、学習のスタートとなる。そのためには、自分のパフォーマンスが上司の期待通りだったのか、フィードバックを求める姿勢が欠かせない。それも早ければ早いほどいい。正式に部署に配属されて時間がたつと、先輩社員が全体の評価を気にして部下の失敗をカバーしてしまうからだ。

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