現役最長老はあのゲーム? ファミコン起源、今や競技
1983年登場のファミリーコンピュータで拡大したゲーム市場。30年以上にわたり、人気ハードが替わるたびに進化を遂げてきた、定番タイトルの軌跡を振り返ってみたい。
国内の人気ゲームシリーズで、今も新作のリリースが続く現役最長老タイトルは歴史シミュレーションゲーム「信長の野望」だ。パソコン用として登場した同作は、好きな武将を操り、腰を据えてじっくりと戦略を練る醍醐味で、現在まで続く歴史シミュレーションゲームの礎となった。
アーケードゲームとパソコンが主流だったゲーム市場を大きく変えたのが、ファミリーコンピュータだ。85年9月発売の「スーパーマリオブラザーズ」は地底や空、水中など様々なステージを舞台にした、アーケードゲームと遜色ないアクション性で、ゲームファンの心をつかんだ。
ファミリーコンピュータの人気を決定づけたのが「ゼルダの伝説」(86年2月発売)と「ドラゴンクエスト」(86年5月発売)。高価なパソコンでしか楽しめなかったロールプレイングゲームを、低価格なファミリーコンピュータで、子どもでも楽しめるように分かりやすく再構築。敵との戦闘を重ねて主人公を成長させ、数々の謎を解きながら重厚長大な物語を進めるプレースタイルは幅広い層に支持され、「ファイナルファンタジー」などの人気シリーズが多数誕生した。
また、携帯型ゲーム機ならではの楽しみ方を生み出したのが、ゲームボーイ用の「ポケットモンスター赤・緑」(96年2月発売)。ポケモンの収集と、ポケモンを他プレーヤーと交換する楽しさを新たに提示した。
ゲームハードは次々と移り変わっていくが、人気定番タイトルはその変化に柔軟に対応し進化を遂げている。「ファイナルファンタジー」は「VI」までは任天堂のゲーム機向けだったが、「VII」(97年1月発売)で大容量データを記録できるCD-ROMを搭載したソニー・コンピュータエンタテインメント(当時)のゲーム機・プレイステーション向けに変更。映画に匹敵するハイクオリティーCGムービーは同シリーズならではの強みとなった。
さらにゲーム機がインターネットに対応すると、いち早く「XI」(2002年5月発売)をオンライン専用ロールプレイングゲームとしてリリース。1人で楽しむものだったロールプレイングゲームに、ネット経由で多くのプレーヤーと同じ世界を一緒に冒険する楽しみ方を生み出した。
両国国技館で「eスポーツ」
「ポケモン」もゲームを持ち歩く楽しさを発展させている。16年7月にはスマートフォン用の「ポケモンGO」で全地球測位システム(GPS)による位置情報と、拡張現実(AR)技術を活用し、現実世界でポケモンを収集する斬新なゲーム性を提案した。
他のプレーヤーとの「対戦」の手法もハードや技術の進化によって変化している。87年に誕生した「ストリートファイター」シリーズは、「II」(91年2月)でプレーヤー同士が試合を行う対戦の要素をプラス。両国国技館で全国大会を催すまでの社会現象へと発展した。
その後、ゲーム機の性能が高まり、高速ネット環境も普及したことで対戦の場は家庭用ゲーム機に移行。腕の立つプレーヤー同士の白熱した戦いは無料動画サイトの人気コンテンツとなった。対戦プレーを観賞する文化は「eスポーツ」に発展。「ストリートファイター」シリーズをはじめとした対戦ゲームは競技種目として評価されるまでになっている。
(日経エンタテインメント!4月号から再構成 文・佐久間亮介)
[日本経済新聞夕刊2018年4月28日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。