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フード・フラッシュ

クラフトジン百花絢爛 香りの自由度は無限大

2018/5/2

英国中部のマックルズフィールドにある蒸留所は、家族経営で生産量もごくわずか。ボトル一本一本にペーパーカットアートのデザインを手作業で印刷している。中身も超一級品で、原料はすべてオーガニックの原料をスモールバッチで蒸留し、最後に天然の軟水とブレンドして仕上げる。ボトルの背面に書かれたバッチナンバーも手書きで、職人の手作業をボトルそのものから感じられる、こだわりの塊のような一本だ。スタンダードのほか、アールグレイを漬け込んだバージョンもあり、こちらはほんのり紅茶色。しっかりアールグレイが香り、英国の高貴なティー文化を背景に感じた。

フォレストジン
フォレストジン アールグレイ

▼フォレストジン、7900円(税抜き)
▼フォレストジン アールグレイ、8500円(税抜き)

■ブドウ、りんご、原料にも個性光る

冒頭で紹介した「季の美」のベースにお米が使用されていたように、少量生産、プレミアム価格に加え、産地や原料の個性がはっきりしていることが、クラフトジンの特徴といえる。例えば「 ル・ジン クリスチャン・ドルーアン」は、ベースに約30種類ものリンゴが使われている。もともとリンゴの蒸留酒・カルヴァドスを製造する仏ノルマンディー地方の名門クリスチャン・ドルーアンが、得意のリンゴの技術をジンに応用した。フレーバーにもこだわりがあり、アーモンドやバラなど8 つのアロマをそれぞれ別々に漬け込んで個々に蒸留したのち、ブレンドする。個別に蒸留するぶん手間はかかるが、それにより各アロマの繊細なフレーバーが引き立つのだ。

ほんのりと甘いリンゴのアロマにうっとりとする、爽やかな春の香水のようなジンだ。ろうで封された洗練されたボトルは、お店や部屋に置いておくだけでインテリアの一部になってくれそうなセンスの光る一本だ。

ル・ジン クリスチャン・ドルーアン
▼ル・ジン クリスチャン・ドルーアン、4800円(税抜き)

白ぶどう品種のアルバリーニョをベースに使った珍しいジンもある。アルバリーニョは、ポルトガルにほど近いスペインのガリシア地方で多く栽培される品種。最近では日本の新潟でも栽培されているが、花のような香りを持つ爽やかな白ワインを生む。

「ノルデス ガリシアン ジン」は、まさに海辺が似合う夏のジンといえそうだ。原料はすべてガリシア産で、15種類のボタニカルの中にはハイビスカスや海藻、紅茶といった珍しいものも使われている。「香りがものすごく華やかで、一般的なドライジンとは全く違ったイメージで楽しめる」(新美さん)というように、フレーバーを重視するワイン好きにもおすすめだ。

ノルデス ガリシアン ジン
▼ノルデス ガリシアン ジン、3900円(税抜き)

ふだんはワイン党の筆者。今回試飲したクラフトジンには、フレーバーの繊細さと多様な個性にワインと共通する魅力を感じた。さらに開けた後、日持ちするのがスピリッツの嬉しいところ。ジンが似合う爽やかな季節、弾ける個性が楽しいクラフトジンの世界をのぞいてみてはいかがだろうか。

取材協力:リカーマウンテン

水上彩
シャンパンと日本ワインを愛するライター。ワイン愛が高じて通信業界からワイン業界に転身した。最近は、毎日着物生活をめざして「きものでワイン」の日々を送っている。ワインの国際資格WSETのDiploma取得に挑戦中。

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