何百匹ものサメが狩りで狂乱 南太平洋、4年越し撮影

日経ナショナル ジオグラフィック社

ナショナルジオグラフィック日本版

フランス領ポリネシアのファカラバ環礁には、毎年6月、膨大な数のマダラハタが繁殖のために集まる。そして、体長50センチほどの太ったマダラハタを狙い、オグロメジロザメも何百匹も集結するのだ。ナショナル ジオグラフィックは4年がかりの取材で、海中で繰り広げられるサメとハタのドラマを迫力ある写真でとらえ、5月号で紹介している。

◇  ◇  ◇

ハタの雌が環礁の産卵場で過ごすのはせいぜい数日。しかし雄たちは、普段は単独で暮らしているにもかかわらず、この危険な海域に何週間もとどまる。そして最後には、すべてのハタが一斉に卵と精子を水中に放つ。

撮影チームは、この壮観にして謎めいた繁殖行動の瞬間を4年がかりで記録してきた。合計21週間、延べ約3000時間にもわたり、水深35メートルの水路に昼夜を問わず潜った。取材1年目の2014年、海洋生物学者が魚の数を数えると、水路にはおよそ1万7000匹のハタと700匹のオグロメジロザメがいることがわかった。

ハタを追う数百匹のサメ

取材1日目の夕刻、海に潜ると、サンゴ礁の陰から甲殻類や軟体動物が姿を現す。マダラハタは皮膚を暗い色に染め、睡眠をとるためサンゴ礁の隙間に消えた。一方で生気を増したのがサメだ。夜になると、数百匹のサメが海底に群れをなすのだ。

取材チームは、サメのいる海底にとどまるしかなかった。身を守るケージも武器も持たなかったが、サメの大群に分け入るのは心躍る体験だった。そして分かったのは、オグロメジロザメは群れで狩りをするということだった。オオカミに似た行動だが、オオカミほど協力し合うわけではない。