育てなくても社員は育つ 覚醒促す「誕生日メール」ユニ・チャームの高原豪久社長(上)

「ほかに、30歳から35歳の幹部候補社員が2カ月交代で、社長のかばん持ちをする仕組みもつくりました。年間6人が限度ですが、現在約60人が待機しています。経営者は誰と会って、どんな話をし、どう決断しているのかを、直に学んでもらうのです。結局、会社というのは、社員が育ちやすい環境や、気づきやすい環境を提供することしかできないと思います」

副業も解禁、研修参加は挙手制に

――4月から副業も解禁されたそうですが、これもその環境づくりの一環でしょうか。

「人は育てられたようにしか育てられない」と語る高原豪久社長

「はい。副業によって、その社員の能力や人間性が高まるのであれば、これを妨げるべきではないと思いました。『働き方改革』に関する議論で欠けているのは『残業を減らした時間を何に使うのか』という論点です。その時間を有効に使って、何らかの気づきを得てもらいたい。副業も、社員にとって能力が高まり、人間としての幅が広がるようなものを選んでほしいと思います」

「意欲のある社員を支援するため、自己啓発などのメニューも会社として用意しています。中には、歌舞伎や居合道、すしづくりやそば打ちを体験したり、講師を呼んでマクロ経済学や政治学、中世近代史の講義を受けたりするというコースもあります。参加者は14、5人で期間は3年。費用は自腹です。やっぱりそうじゃなきゃ真剣になりませんから。いま4クール目で私も参加しておりまして、今晩は歌舞伎に行きます」

「これからは人事研修も挙手制にしようと思っています。学びたくない人、面倒くさいと思う人は来なくていいですと。それで評価が悪くなったり、昇格が遅れたりといったことはしません。押し付けでやっても無駄になりますから。重要なのは、社員自身が学びたい、成長したいという意思を持つこと。私も含めて社員に一番必要なのは、成長実感だと思うんです。何か一生懸命努力して目標をクリアしたときの達成感、高揚感は最高だし、それを味わってほしい。成長できる環境を提供し、背中を押す。それがリーダーの役割だと思っています」

高原豪久
1961年、愛媛県生まれ。父親の慶一朗氏がユニ・チャームの前身である「大成化工」を創業したのもこの年。成城大学経済学部を卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)を経て、91年ユニ・チャームに入社。2001から社長。

(ライター 石臥薫子)

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