育てなくても社員は育つ 覚醒促す「誕生日メール」ユニ・チャームの高原豪久社長(上)

「私自身が望んでいるのは、やりとりを通じて社員が何かしら気づいたり、触発されたりすること。平たく言えば『成長のきっかけ』になることです。よく『普通の教師は教える。良い教師は諭す。最高の教師は心に灯をつける』と言いますが、リーダーとして大事なのは、2番目と3番目。つまり、『気づかせる』ことじゃないでしょうか」

人は「育てる」のではなく自ら「育つ」 教える側の責任重大

――社長自身が気づくこともあるのですか。

朝一番で社員に誕生日メールを送るという高原豪久社長

「もちろんです。例えば、人事評価があまり芳しくない社員がいたとします。人事データだけでは、その背景が見えません。しかし、メールでやりとりしてみると、意外にしっかりとしたタイプであることがわかったりします。もしかすると、今はちょっと停滞しているだけで、異動などで新しい環境においてあげれば開花するかもしれないと考えたりします」

「誕生日メールなんて社員からは喜ばれないのではないかと言われることもありますが、誕生日という大義名分があるおかげで、変に身構えることなくダイレクトにコミュニケーションができる。互いに気づかされることもある、という意味ではこれは非常に貴重な機会なのです。だって、なんでもない日に突然社長からメールが来たら、『まずいことでもしたかな』とびっくりするでしょう」

――人を育てるためのユニークな仕掛けは他にもありますか。

「私は、人を育てるなんて、できないというのが持論です。育つのは本人なんですから。それと、『人は、自分が育てられたようにしか(人を)育てられない』とも思っています。親子関係でもそうだし、会社の上司と部下の関係もそう。自分が子どもの頃、親にされて嫌だったことは、自分の子にはしない、とか、してほしかったことをしてやろうとか、いろいろ考えるものですが、結局、親になってみると、育てられたようにしか育てられないものです。だからこそ、育てる側・教える側の責任は非常に重い」

「上司にその責任を自覚してもらう狙いで、2016年度からは新人の営業社員の『社内ドラフト制度』を始めました。配属先を人事部門が主導で決めるのではなく、各支店が『新人育成計画』や『欲しい人物像』に基づいて指名するのです。世代によって育った背景が違いますから、いつの時代でも上司・先輩は新入社員に対して『若いやつは……』とこぼします。もっとも我が社は比較的面倒見の良い社員が多いと思いますが、さらにこれを強化する狙いで『社内ドラフト制度』を導入しました。何と言っても、自分で指名して異動してもらうのですから、『きめ細かく丁寧に育てなければ』という責任感をいだきやすいと思います」

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