出張プレゼンに必携 ソニーのモバイルプロジェクター
戸田覚のデジモノ深掘りレポート
僕はプレゼンに関する本や記事を書く機会が多く、プロジェクターにもかなり関心がある。特にモバイルプロジェクターは気軽に持ち歩ける上に、価格も手ごろなのが魅力だ。簡単に持ち歩けると、仕事だけでなく旅行などにも持ち出して、大画面で動画や写真を見るのが楽しい。ということで、今回は、ソニーが2018年4月25日に発売した新製品「MP-CD1」を試してみた。
本体サイズは、ちょっと大きめのスマートフォン(スマホ)やモバイルバッテリー程度。大きさは83×16×150mmで、重さは280gだ。さすがにシャツのポケットに入れると服の形が崩れてしまうが、小さなカバンにも余裕で入る。ポーチなどにスマホと一緒に入れて持ち歩けるのは素晴らしい。
デザインは黒一色で、ガジェット好きの物欲をくすぐるし、仕事で使うにも目立たなくていい。個人的に感心したのは、金属ボディーを採用した剛性の高さだ。この固いボディーは手にしていてうれしくなる。標準で付属する合皮のケースも黒で統一されていて質感が良く、しかもモバイルプロジェクターがぴったり収まるサイズに作られているあたり、「設計者はわかっているなあ」と感心する。
端子は盛りだくさんだ
モバイルプロジェクターとしては、端子の数はずいぶん多く、レンズを正面に見て左側面に並んでいる。充電に使うUSB Type-C端子、各種機器と接続するためのHDMI端子、スピーカーをつなぐAUDIO OUT端子を備える。また、通常サイズのUSB端子もあり、これはMP-CD1をモバイルバッテリーとして利用するときに使う。
パソコンとの接続なら、HDMIケーブルを利用すればいい。Androidスマートフォンと接続するには別売りのMHLケーブルが必要とされているが、USB Type-CをHDMIに変換するアダプター(Anker USB-C & HDMI変換アダプター)を試してみたところ、問題なく使えた。iPhoneとの接続は、Apple純正のLightning-Digital AVアダプターを利用した。
唯一の欠点を挙げるなら、ワイヤレスで接続する機能がないことだろう。モバイルプロジェクターの中には、無線規格のMiracastを利用してパソコンとワイヤレス接続し、投影できる製品もある。ケーブルなしで使えれば、荷物も減るし、置き場所も選ばないのでとても便利だ。
また、ケーブルで接続するモバイルプロジェクターは、テーブルの上などに固定するのが難しい。当然のことながら、使用時はモバイルプロジェクターを三脚に取りつけるのだが、その際、プロジェクターが太いHDMIケーブルに引っ張られて動いてしまうことがあるのだ。
ただし、MP-CD1は、三脚を取り付ける穴が中心からずらしてあり、穴の横にケーブルを差し込むように設計されている。ケーブルをつないだ状態のバランスがよいので動きにくい。とてもよく考えられていると感心する。
明るさに期待してはいけない
MP-CD1は、105ルーメンと、モバイルプロジェクターとしては一般的な輝度だ。仕様上は最大120型での投影が可能となっているが、その際には部屋をかなり暗くする必要があるだろう。一般的な明るさの事務所なら、40~50型程度の投影が見やすいと思う。
スマホを接続してスマホの画面を投影するときは、縦向きに表示しようとすると相当小さくなる。スマホを横にしても使えるブラウザーや写真などを表示するのがいい。
MP-CD1は、メニュー画面を表示して設定を変更するといった必要はほとんどなく、操作は簡単そのものだ。電源ボタンを押すことで、音消しなどのモードを切り替えられる。ピント調整は手動だが、台形補正は自動だ。
機動性の高さが魅力的
MP-CD1は、モバイルバッテリーとしても利用できる。そんな使い方のために、前述のようにUSB端子が用意されている。
バッテリーの容量は5000mAhなので、最近の製品と比べると容量が多いというわけではない。プロジェクターとしての駆動時間は約2時間となっているので、プロジェクターとして使うなら十分だが、モバイルバッテリーとしてはスマホを1度充電するとかなり減ってしまうはずだ。
僕なら、モバイルバッテリーとして利用することはあまりないだろう。言うまでもなく、投影時間が減るのがいやだからだ。ただし、出先で急きょスマホのバッテリーが切れそうになって、かつその日はプロジェクターをもう使わないなら、緊急用として便利だと思う。
USB Type-Cで充電するので、スマホと充電ケーブルやACアダプターを使い回せるのもいいところ。製品には、ACアダプターは付属しないが、3.0A対応のACアダプターを使えば、約2.5時間でフル充電できる。
何より感心したのは、電源ボタンを押してから約5秒で使える機動性の高さだ。これこそ、モバイルプロジェクターに求められる点だと思う。製品としてはかなりよくできているが、価格はソニーストアで4万5880円と、他のモバイルプロジェクターと比べるとやや高い。3万円台半ばまで値下がりしてくれば、競争力があると思う。
[日経トレンディネット 2018年4月2日付の記事を再構成]
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