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女性管理職が語る

ご褒美はアンパン…でも幸せ 私を変えた成功体験 日本航空執行役員 中野星子氏

2018/4/19

中野星子・日本航空執行役員

 管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。これまで8人の女性管理職が交代で執筆してきましたが、今回は新しい筆者、日本航空執行役員の中野星子氏に寄稿してもらいました。

◇  ◇  ◇

 私は1982年に女性総合職1期生3人のうちの1人として日本航空に入社しました。主に営業畑を歩み、関連会社の社長を経て、2014年4月に現職に就きました。

 今の仕事は支社長のような役割です。近畿、中国、四国地方を統括し、一緒に働く仲間は約4300人です。関西経済連合会評議員や関西経済同友会幹事など、社外で就いている役職の数も30になります。

 順風満帆と思われるかもしれませんが、私の昇格は部長になるまで同期に比べて常に遅れていました。本社の会議に私が出席すれば、必ず「君、誰の秘書?」と聞かれ、営業先では「え、うちの担当、女性?」と絶句されました。

 社内では売り上げが上がると「女性は得だね」、下がると「やはり女性には無理」と言われ、何度も悲しい思いもしました。それでも仕事を続けられたのは(1)家族の理解と協力(2)上司に恵まれたこと(3)仕事へのやりがい――があったからだと思います。

 夫は残業や接待などで私の帰宅が深夜でも「大変だね」、出張で長期間不在にしても「カレンダーに書いておいて」と言うだけでしたので精神的に助かりました。家事の分担はゴミ出しとお皿洗い、お風呂掃除は夫、それ以外は私です。2人とも管理職になって忙しくなった頃には、母が家事を手伝ってくれました。

 上司にも恵まれました。かつては旅行会社への営業は相手先も含め男性一色でした。そこへの私の異動を可能にしてくれたのが1人の男性管理職です。私を受け入れることにちゅうちょしていた上司には「僕が責任持つから」と説得してくれたそうです。

 女性が新たな活躍の場を得るには、公平に能力を評価し強力に支援してくれる上司の存在がいまだに必要です。女性もそのような人が必ずいると信じて、常に真剣に仕事をすることが大切です。

 仕事にも恵まれました。社運に関わるプロジェクトを任されたのです。それは「燃油サーチャージ」の導入です。燃油価格が高騰、航空会社の自助努力ではどうしようもない水準となりました。その解決策として考えられた制度です。

 「成功したら社長表彰」と常務から言われた肝煎りの任務でした。認可を得るため、国土交通省に何度も足を運び、部下と共に数々の壁を乗り越え、1年弱で認可を得ることがかないました。

 いま振り返ると、このときの体験が仕事への自信となり、やりがいを与えてくれた気がします。失敗を恐れる必要はありません。失敗を重ねても最後に成功すれば失敗ではなくなります。

 さて、社長表彰を約束した常務は「よくやった」とご褒美にアンパンを2個くれました。私はそのアンパンをおいしくいただきました。社長表彰はありませんでしたが、幸せでした。

 女性の働く環境は私が入社した時よりも確実に良くなっています。子育ても仕事もキャリアアップも諦めなくてよい。そのような環境づくりが進められています。当社でも様々な取り組みを行っています。ぜひ、より多くの女性が生き生きと働き、日本の発展に寄与して頂きたいと思います。

なかの・ほしこ
 1982年青山学院大法卒、日本航空入社。札幌空港支店や東京支店、国内マーケティング部、宣伝部、国際旅客営業部などを経て2010年に関連会社の社長に就任。14年より日本航空の執行役員西日本地区支配人。

[日経産業新聞2018年4月12日付]

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