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理系脳で五感に訴える料理空間づくり 米田肇氏の挑戦 ガストロノミー最前線(2)

2018/4/24

シグニチャーディシュ「地球」

 料理人がクリエーティビティを追求すると、レストランという枠組みに収まりきらない可能性が出てきた。グローバル化によって料理のジャンルの境界が崩れつつある今、提供空間の境界をも超えようとしているのが大阪「HAJIME」の米田肇シェフだ。

 米田シェフには2015年春、大きな前進があった。世界最大のデザインの祭典、ミラノデザインウィークにレクサスのメンバーとして参加し、数千を超える展示の中からBest Entertaining賞を獲得したのである。

 フランスとイタリアを拠点に活動するスペースデザイナー、フィリップ・ニグロとのコラボ「A JOURNEY OF THE SENSES」。“雨”“木”“地球”を題材に、ニグロが空間を、米田シェフがフードを創出。視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚に訴える世界初のガストロノミー・インスタレーションとして高い評価を得た。バーチャル表現全盛の時代にあって、リアルに五感を刺激するクリエーションがヒューマンで未来的、とは贈られた賛辞の一例だ。

 そもそもデザインの世界に「味覚」を持ち込んだこと自体が画期的と言わざるを得ない。“雨”であれば、雨に見立てた細かいポールチェーンに光と映像を投影して視覚的に雨を演出、映像に合わせた雨音が聴覚に訴え、小瓶に入った「Rain Drop」を口に含むと滴のようにパチパチと口の中で弾け、味覚で雨が体験できるような仕掛けである。「1日8000人が訪れたんですよ。予想を超える来場者数にフードが足りず提供できなくなると、体験せずに帰る人が続出しました。昨年までは視覚だけで満足していたはず。それが、味覚を伴わなければ見る意味がないと受け止められたんです」

 味覚が入り込める表現領域がまだまだ未開拓であることを証明したわけである。

考えては書き、を繰り返す。「次の思考を促すため、脳から吐き出すんです」
<料理解説>
HAJIMEのシグニチャーディシュ「地球」。100種を超える食材を使って、地球上のミネラルの循環を表現。直径50センチ超の特注の有田焼の皿でプレゼンテーション。ビジュアルもさることながら素材ごとに施される最適な火入れと調味は緻密で、素材の味をうまく引き出している

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