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広がるテレワーク、効用は? 通勤時間削減を労働に

2018/4/17

サテライトオフィスを設ける企業も(横浜市)

 自宅や、会社以外の場所で働くテレワークが徐々に広がっています。歓迎する人が多いですが、経営側には慎重な見方もあります。

 国土交通省の調べによると、企業で働く人のうち、テレワーク制度がある企業で実際にテレワークを選択している人の割合は2017年で9%。16年の7.7%を上回りましたが、まだ1割に達していません。総務省の調査では、16年9月末時点でテレワーク制度を導入している企業は13.3%で、導入の予定がある企業は3.3%でした。

 経営側は労務管理の難しさや、テレワークで労働生産性が下がる可能性を懸念しています。生産性との関係を巡っては「テレワークは生産性を高める」「同じオフィス内で仕事をするほうが生産性が高い」「単純作業ではマイナスだが、創造的な仕事ではプラス効果が大きい」といった様々な研究結果があり、明確な結論は出ていません。

 経済産業研究所は昨年11月、約1万人を対象にテレワークに対する見方を尋ねました。「仕事と家庭の両立、生産性の向上の観点から望ましい」との前向きな評価、「職場内のコミュニケーションの不足や仕事の効率の低下につながるおそれがあり、望ましくない」とのマイナスの評価、「どちらとも言えない」に分かれました。「テレワークの利害得失は相半ばしているとの見方が最も多い」と結論づけています。

 同研究所の森川正之副所長は通勤時間の長さとテレワークとの関係に注目しています。「女性は長時間労働よりも長時間通勤を忌避する傾向が強く、テレワークやサテライトオフィスの普及が女性の就労を促す有効な対応策になり得る」と主張しています。

 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、テレワークは介護や育児との両立を可能にするとともに、経済を底上げすると指摘します。テレワークには、働く人全体の通勤時間を減らし、労働時間を増やす効果を期待できるとみているためです。東京の事業所で働く人の数、平均の通勤時間、時間当たりの賃金や労働分配率をもとにテレワークの経済効果を試算すると、通勤時間を労働時間に置き換えた場合の経済効果は東京の事業所分だけで年間8.6兆円にのぼりました。

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