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食の達人コラム

丼も皿もハヤシもあり 静岡、異色のカツ丼ワールド カツ丼礼賛(16)

2018/4/13

カツカレーならぬカツハヤシ

 愛知県、長野県、山梨県、神奈川県と隣接する静岡県。愛知県の味噌カツ丼や山梨県のソースカツ丼などの影響を受けたカツ丼がありそうなものだが、ほとんどの地域のカツ丼の主役は「玉子系」だ。「玉子系」と書いたのは、一般的な卵とじとはちょっと違う、ユニークな卵を使ったカツ丼がちらほら存在するからだ。

 静岡県内にはカツ丼として地域性があるところはあまりないが、数少ない地域の名物カツ丼と言われるのが富士市の「カツ皿」だ。メディアでもよく紹介されるが、初めて見た人は一様に驚く。その名の通り皿盛りなのだが、一見しただけでは何の料理かわからない。

 皿盛りのご飯の上に、ゆでキャベツ、トンカツ、その上からとろとろのだし卵とでもいおうか、皿全体が黄色い卵のベールで覆われる。店は昭和2年創業の「そば 食事処 金時」。この卵にだしがしっかり効いており、甘めの味付けになっている。かなりたっぷりの卵で、食べている感じはカツ丼なのだが、実に個性的なメニューだ。

 このカツ皿は2代目の女将さんが思いつき、50年の歴史があるそうだ。平皿で、スプーンで食べるのは、洋風のアレンジメニューとして考案したから。和風のだしだがスタイルはハイカラ、というわけだ。

 実はこちら、メニューにはカツ丼もちゃんと存在する。半熟卵でとじられており三つ葉がのる、ビジュアル的にも食欲をそそる正統派の一品なのである。

 現在カツ皿の提供が確認されているのは、「金時」を含め3軒。新富士駅の「するが蕎」はご子息の店だそうで、もう一軒は現在のご主人の祖父が、「金時」で修業して独立したという「きんせいけん」だ。

「きんせいけん」のカツ皿はたまごのソースたっぷり

 昭和40年ころの創業ということで、こちらにもカツ丼とカツ皿がある。だしの効いた「たまごのソース」がたっぷりとかかっており、付け合わせは福神漬け。トッピングにグリンピースが散らされ、洋食的な演出となっている。甘みがしっかりとあり、また少しタイプの違うカツ皿が味わえる。

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