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女性管理職が語る

危機対応は日々の集大成 東日本大震災で得た気づき アフラック常務執行役員 木島葉子氏

2018/4/12

木島葉子・アフラック常務執行役員

 管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。8人の女性管理職が交代で執筆します。今回は、アフラック常務執行役員の木島葉子氏です。

◇  ◇  ◇

 「どうして今のポジションにつけたと思いますか?」。こう聞かれると、いつも私は「リーダーとしていくつかの危機を経験したからではないでしょうか」と答えます。

 私は「陣頭指揮をとる」という経験を何度か得ました。また、私が直面したいくつかの危機は、失敗は絶対に許されない事案でした。そこでは、危機という特異な状況だからこそ得られる新しい気づきがありました。

 私の持論は「危機対応は日常の集大成」です。いざというとき、人は普段では出せないような力を発揮できることがあります。しかし、それは日々の仕事に真摯に向き合っていることが前提だと考えています。

 2011年3月の東日本大震災は、まさにそれを試されたときでした。

 当時の私は保険の契約管理全般をまとめる部署の部長でした。日々の業務を一日も早く平時の状況に戻すとともに、被災地のお客様にお見舞いと契約継続のための特例対応のご案内をお送りすること、加えて深刻な被害にあわれた地域のお客様の安否を確認することが求められました。

 当時、被災地の当社のお客様は約120万人。規模の大きさと未経験の対応を求められ、責任の重さに押しつぶされそうになりました。

 これまでもお客様への文書送付の業務は経験していました。一刻も早くお送りできるように経営層に急いで企画をあげました。しかし、社長からは何度もやり直しを命じられました。同業他社や監督官庁の動向なども見ず、自分の経験だけをもとにつくった企画書ですから、承認してもらえるはずがありません。

 ようやく承認を得たときには、当社の対応は他社と比べてずいぶんと遅くなってしまい、お客様にご不便をおかけしてしまったと思います。この教訓は私の中に強烈に残り、同じ轍(てつ)を踏むまいと誓いました。

 13年、私には2度目の危機対応となる大規模なシステム障害が発生しました。保険契約管理システムが約2日間停止となり、保険契約の申し込み受付、保険金・給付金のお支払い、コールセンターでのお客様対応など、あらゆる業務ができない状況となりました。

 私は契約管理部門の役員として復旧に向けた指揮をとりました。システム障害自体はシステム部門が対応しますが、滞留してしまった業務を通常の状況に戻すための準備や計画、復旧後の検証が私の役割でした。

 障害の解消に手間取ったこともあり、復旧予定時刻が何度も変更され、復旧後の計画も何度も練り直すことになりました。社長がトップを務める「全社対策本部会議」では、お客様や社外の関係者にご迷惑をおかけしている状況と事の重大さを理解してもらうため、あらゆる方面からみた影響をもれなく報告することを心がけました。

 復旧に向けた対応については、安心して自分たちに任せてもらえるよう、自信を持って伝えることを心がけました。その結果、当時の社長から「東日本大震災の時はひどかったが、今回は素晴らしかった」との言葉をもらいました。

 現在、私は「危機管理室」の担当です。会社は、私にまだまだ多くの経験をさせたいようです。

きじま・ようこ
 1986年実践女子大卒、アフラック入社。2006年契約管理企画部長、07年コンタクトセンターサービス部長、12年執行役員、17年より常務執行役員。

[日経産業新聞2018年4月5日付]

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