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主婦の私、「女性が輝く社会」に負い目を感じます 著述家、湯山玲子さん

NIKKEIプラス1

2018/4/12

著述家、プロデューサー。東京都生まれ。「女装する女」など著作多数。クラシック音楽のイベント「爆クラ!」を主宰。テレビのコメンテーターとしても活躍。

女性の輝く社会と政府は言うが、子育て介護で一生を終える可能性の高い専業主婦の私は輝いていないの? 勤めていないと輝いていないの? ボランティアで社会を支える人にも目を向けてほしいし、自分も負い目を感じず生きていけたらと思います。(神奈川県・女性・30代)

そもそも「輝く」という状態はどういうことなのでしょうか。「人生のあらゆる時間を思う存分、充実して生きる様子」ということならば、それは個人的な感覚であって、政府のスローガンとは全く関係ないはずです。しかし相談者氏は激しくイラついている。それは、政府が発表した「女性が輝く社会」の現実化としての法案が、専業主婦という生き方の消滅を意味すると感じ取っているからだと思います。

伝統的な価値を重んじる保守的な政権がこのような政策意思を示したことの本音は、「女性には働いてもらって、税金を納めてちょうだいナ」ということ。人口減による労働力の補填としては移民がありますが、外国人との共生の歴史がなく、欧米諸国でトラブルの先例があるだけに、移民より女性という判断が下された。離婚が増加し、終身雇用が崩れた現実への不安から「女も経済的に自立していなければ、幸福どころではない」という考え方も今は常識です。

申し訳ないが、世間の意識は変わってしまった。子育てと介護を滅私奉公のように担う専業主婦については、かつては周囲からの感動大絶賛があり、その「感謝」が彼女たちの生きがいでしたが、働く女性の保育所育児や介護のアウトソーシングの方が当たり前となってくると、その滅私に対する感謝の報酬関係はもはや成立しづらい。

かつて、働きながら子育てする女性は、子供や家庭を犠牲にするわがまま者でした。しかし彼女たちは、そういう生き方を選んだのだから、と自らの道を生き抜いてきた。なので世間のカードが裏返ったいま、相談者氏も自分が選んだ専業主婦という生き方を、逆風のなか、信念を持ってやり抜いた方がいい。

思えば専業主婦だらけの私の親の世代には、刺激的な母親たちがいました。洗面器大のプリン作りに挑戦したり、ミステリー小説を大量に貸してくれておやつの時間に感想を言いあったり。彼女たちは遊び心たっぷりで、専業主婦という立場をフルに活用して輝いており、それは図らずも子供の私に大きな影響を与えたという点で社会的でもあった。そう、「輝き」とは、世間や人からの承認とは関係ない「自分の充実」から発せられるものなのです。

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[NIKKEIプラス1 2018年4月7日付]

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