栄養豊富で体すっきり おからパウダーの春レシピ

栄養たっぷりな食材として知られるおからを乾燥させて粉末にした「おからパウダー」。以前から販売されていましたが、最近あらためて注目されています。小麦粉代わりに使え、低糖質で栄養満点。食物繊維もたっぷり取れます。使い道の多いおからパウダーの取り方のコツ、春らしいインスタ映えレシピを紹介します。
低糖質で便利なおからパウダー
おからパウダーは粒子が細かく手触りはサラッとしています。生のおからは数日しか保存できませんが、おからパウダーは長期保存が可能。粉末なので料理に使いやすいのも特徴です。管理栄養士の岡田明子さんに、健康面、美容面のメリットを聞きました。
「おからは低糖質なうえ、中性脂肪やコレステロールを減らす作用のあるオメガ3、骨を丈夫にするカルシウム、女性ホルモンの働きを整える大豆イソフラボンを含んでいるので、女性には心強い食材です」
さらに「おからに含まれるBCAAといわれる分岐鎖アミノ酸(必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンを含む)は運動時に必要なアミノ酸なので、運動時に取ると、既に筋肉に蓄えられていたBCAAを無駄に使うことなく、体内の脂肪や糖質の燃焼につなげることが期待できます」(岡田さん)。スポーツをする人にはうれしいですね。

おからパウダーを食事に加えるのはとても簡単。実践しやすいのは、炭水化物である小麦粉をおからパウダーにチェンジする方法です。お好み焼きの生地や、ホワイトソース、唐揚げなどの衣にも使えます。
肉のカサ増しにも便利。ハンバーグやギョーザ、ミートソースなどのひき肉に混ぜて使えば、カロリーを抑えられる上、食物繊維が豊富なので食べごたえも十分。
栄養面では「おからのカルシウムや鉄の吸収率をアップさせるためにビタミンC(果物、野菜)やビタミンD(サケや青魚)と組み合わせるのもおすすめです。おからにはビタミンB群があまり含まれていないので、レバーや青魚と一緒に取るとよいでしょう」(岡田さん)。
普段のメニューにサッと加える、ふりかける
「さとの雪食品」では2005年からおからパウダーを製造・販売しています。サラサラのパウダーで長期保存ができ、使いやすいのが特徴。人気再燃で18年の年明けから少しずつ販売が伸びているそうです。同社営業企画部の作田理さんに、簡単な使い方を教えてもらいました。

「例えばヨーグルトや、コーンスープなどのスープ、お茶漬け、味噌汁などにスプーン1杯のおからパウダーをふりかけて食べていただくといいですね。食べごたえがあり満足感が得られる上、糖質も抑えられます。腹持ちがいいので無理なく続けられます。意外なところでは、おにぎりを作るときのお米に混ぜてもおいしいです」(作田さん)
おからパウダー自体は、おからの香りがかすかにするものの、料理に混ぜても味や香りに影響はほとんどありません。火を通さなくても使えるので、忙しい朝にも便利です。
あらびきタイプは菓子作りにも
製菓材料の専門店「キクヤ」で扱っているおからパウダーは、あらびきなのが特徴です。おからパウダー1に対して水を4加えると普段食べているおからとして使えます。こちらも、ここ数カ月の売り上げは1.5倍ほどになっており、リピーターが多いそうです。

同店C&C事業部の福澤成美さんによると「製菓材料としておからパウダーを使用するにあたって、生地におから感を出すためあらびきにしました。焼き上げたときにおからの食感が楽しめます」とのこと。
「クッキーやスコーンなど、さっくりとしたお菓子に使うと軽くて歯切れよく仕上がります。パウンドケーキやマフィン、蒸しパン、パンケーキなどスポンジ生地のお菓子に使用すると、ふっくらとした仕上がりに。もちろん料理にも使えます。コロッケのマッシュポテトをふかしたおからパウダーに変えると、しっとり食べごたえのあるコロッケになります」(福澤さん)
おもてなしにも使えるおしゃれレシピ
最後に、さとの雪食品の作田さんおすすめの、おもてなしにも使えるレシピを2つ紹介します。1つ目のレシピは春らしいアレンジを加えてみました。2つ目のレシピは管理栄養士の渥美まゆ美さん監修。とても手軽なのにコクがあっておいしいディップソースです。
【桜風味のおからヨーグルト蒸しパン】(容器2~3個分)

[材料] おからパウダー 20グラム、卵 1個、甘味料(砂糖でも代用可) 30グラム、重曹 2グラム、レモン果汁 少々、ヨーグルト(無糖) 80グラム、牛乳 大さじ1、桜の塩漬け 2~3本、(桜風味アレンジ)食紅 少量、(抹茶風味アレンジ)粉末の緑茶 5グラム
[作り方]1. ボウルに卵と甘味料を入れて泡立て器でよく混ぜる。さらにレモン果汁とヨーグルト、牛乳を加えて混ぜ合わせる。2. 1におからパウダーと重曹、アレンジ用の食紅や抹茶を加え、ゴムべらで混ぜ合わせ、カップに入れる(膨らむのでカップの半分を目安に入れる)。桜の塩漬けは塩を洗い流し、水分をふき取ってからトッピングする。3. 電子レンジで4~5分加熱して出来上がり。
【おからクリームチーズディップ】(2人分)

[材料] おからパウダー 大さじ2、クリームチーズ 大さじ2、牛乳 大さじ4、コショウ 少量
[作り方]1. クリームチーズは常温に戻してボウルに入れ、なめらかになるまで混ぜる。2. おからパウダー、コショウを加えてさらに混ぜ、牛乳を加えてなめらかになるまで混ぜれば出来上がり。
牛乳とコショウをはちみつ大さじ1に変えれば、甘みのあるディップに早変わり。子どもでも食べられる味になります。簡単なディップソースで食物繊維や鉄分を補給できるので覚えておくと便利です。
おからパウダーは様々なメニューに使えるのが便利。糖質制限をしたいとき、野菜不足が気になるときなどに手軽に使ってみてはいかがでしょうか。
一般社団法人NS Labo代表理事、管理栄養士。健康や美容関連のレシピ提供や商品開発、講演や執筆、メディア出演などヘルスケア分野を中心に幅広く活躍中。個人への食事サポート、ダイエットや妊活に悩む方への生活習慣に合わせた指導に定評がある。
Smile meal代表。管理栄養士、フードコーディネーター、健康運動指導士。企業向け健康経営サポート、地域向け健康寿命の延伸につながる活動や料理教室、セミナー講師などを担当。テレビ、雑誌、イベント出演、出版や商品開発なども行う。和食と地中海式料理のよいところを取り入れた日本人に合う長寿食「和タリアン料理」をベースに提案。
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(取材・文 GreenCreate)
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