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柴崎博子・東京海上日動火災保険常務執行役員

柴崎博子・東京海上日動火災保険常務執行役員

管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。8人の女性管理職が交代で執筆します。今回は、東京海上日動火災保険常務執行役員の柴崎博子氏です。

◇  ◇  ◇

女性が企業の中でキャリアを重ねていくとき、いくつかの壁にぶつかることがあります。そうしたとき、他人に頼らなくても、自分自身でモチベーションを上げる方法を持っていることはとても大切です。

私にとってそれは、仕事の中で感じた、ふとした「気づき」や日常生活の中で出会う「言葉」だったりしました。

私が感じた気づきは「仕事は人に指示されて行うよりも、自分で考えつくってこそ、楽しく喜びも大きいこと」「仕事の悩みは仕事でしか解決できないこと」「厳しさは真の優しさであること」などです。

私を日々支えてくれた言葉に「一隅を照らす」というものがあります。天台宗を開いた伝教大師の言葉で、一人ひとりの存在は小さくても、努力し自ら輝いていくと全体を輝かせることができるという意味です。

曹洞宗の開祖、道元禅師の「切に念(おも)うことは必ず遂ぐるなり」という言葉も私を支えてくれました。切実に真剣に願うことは、必ず成就できるという趣旨です。

そして、私の座右の銘は明治時代の政治家であった田中正造さんの言葉で「辛酸亦入佳境(しんさんまたかきょうにいる)」です。

人生や仕事において誰しも辛いことや苦しいこと(辛酸)がある。しかし、それを乗り越えた先にはうれしいことや楽しいこと(佳境)が必ず待っている――。私はこの言葉をこう理解しています。厳しい局面に陥ったとき、私はこの言葉に助けられました。

これまでの会社生活を振り返ると、私はこうした気づきや言葉によって、仕事の品質と成果にこだわり、自身の責務をまっとうするため、常に全力投球してきました。

現在は生涯にわたって仕事を続けたいという女性が増え、女性が活躍できる環境や制度も整ってきています。指導的な役割についている女性も増えています。後進の女性たちには、女性であることに決して甘えることなく、常に自己研さんや鍛錬を重ね、周りの人が自然に手を差し伸べてくれるような人になってほしいと思います。

結婚や出産、介護などさまざまなライフイベントが起こる中では、仕事への全力投球が難しいときもあるでしょう。それでもできうる限りの努力をして、仕事と両立する方法を探さなければなりません。それが社会人としての義務だと私は考えています。

私は仕事が好きです。会社に育ててもらったと心から感謝もしています。しかし、仕事そのものをいきがいとしてとらえたことは一度もありません。

仕事を通して自分を磨き、さまざまなことを経験し、成長する。そして、私が仕事をすることで代理店の方やお客様が喜んでくださり、少しでも社会の役に立つことができれば、それはとてもうれしいことです。そのようにして自分の人生を充実させたいと思ってきました。

このコラムを読まれている皆様が、それぞれの職場や仕事で「やり切った」と胸を張って語れる仕事をする。そのことで会社や社会に貢献し、豊かで充実した人生を送られることを心から祈念しています。

しばさき・ひろこ
 一般職で東京海上火災保険入社後、1988年に総合職へ転換。2012年執行役員福岡中央支店長、15年常務執行役員(現職)として、九州・沖縄エリアを担当。

[日経産業新聞2018年3月29日付]

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