孫さんも一目ぼれした「クイズ王」 目指すキャリアは

「空気を読まない、変わり者」とも言われるという水上さん。クイズで正解すると、「ドヤ顔になる」こともあるが、時折、優しそうな笑顔がこぼれ、「水上くんは結構かわいいし、イケメン」と女性ファンもどんどん増えている。

孫正義氏は17年に8歳から26歳までの異才を選び、支援事業を開始した。

水上さんは「好きなスポーツは卓球とバドミントン。あんまり体力はなくて虚弱体質ですが、精神的にはずぶとい方です」と笑う。お茶の間の人気者として価値は高まる一方だが、「クイズはあくまでも趣味」と割り切っている。

東大では3年生で医学部に進学して、解剖などの本格的な医学実習がスタート。水上さんの目指すキャリアはもちろんタレントではなく、あくまでも医学の道だ。「臨床医か研究医か、まだ決めていません。しかし、今、興味があるのは脳神経でしょうか。医学分野で脳は未知の分野ですから」と話す。医師は通常、病院などに勤務して患者の診断・治療に当たる臨床医と、がんなどの病気のメカニズムや治療法を研究する研究医に分かれる。

未知の分野 脳に関心

東大や京都大学からは研究医になる学生が少なくない。「ほかの臓器のメカニズムはかなり分かってきていますが、脳はまだまだブラックボックスなんです」と水上さん。孫氏はAI(人工知能)分野に並々ならぬ関心を持っている。水上さんら96人の異才に対してこう語った。「君たちは、AIが人類の知的能力を超える『シンギュラリティー』の時代が到来するときに、人類を代表する可能性のあるリーダー候補だ」

人間の脳のメカニズムの解明はAIの進化にもプラスになる。水上さんは「まだ僕はAIを医学に活用するとか、そこまでは考えていません。しかし、クイズの仲間に加えて、最近は財団の96人のメンバーとも交流を始めています。刺激しあいながら、社会に役立つモノやサービスがつくれたらいいなと思います」という。

孫財団が設けたこの渋谷の一室には、96人のメンバーが自由に出入りできる。受付ではペッパーが迎え、飲食も自由。常に十数人のメンバーが集まり、最新技術に関して論じ合ったり、様々なプロジェクトの企画案などを練ったりしている。

孫氏からは「登る山は早めに決めた方がいいよ」とアドバイスされたという水上さん。孫氏は何度も失敗や挫折を繰り返しながら、ソフトバンクグループを築いた。だが、水上さんは「失恋経験はありますけど、大きな挫折はないかもしれないですね。今後は医者として、高齢者の方でも望みのある社会をつくるお手伝いをしたいんです。いくら失敗しても、どんどん挑戦していこうと思います」という。趣味のクイズから少し距離を置いて、脳のメカニズムの解明など最先端の医学を極めるのはこれからだ。

(代慶達也)

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