奨学金が返せない 原因は学費より「一人暮らし」

日経DUAL

ただ、漠然としたイメージで奨学金を避けるとかえって家計をリスクにさらすことになります。結論から書いてしまうと、奨学金を過剰に怖がる必要は全くありません。奨学金は他のあらゆる借金と比べて「最も良心的な借金」であることは間違いありません。使える人は限界まで借りてくださいと有料相談でもアドバイスしています。

奨学金=借金=怖いモノ、という(間違った)常識ができつつある中でこのような説明をされるとビックリした人も多いかもしれませんが、奨学金の仕組みや返済に困る人の実態、そして借金の本質的な意味を考えれば何らおかしくない、当然のアドバイスになります。

一人暮らしは生活費の負担が大きい

奨学金について理屈をアレコレと書く前に、大学の費用はどれくらいかかるのか、実際に奨学金を借りるとどうなるか、返済で困る人はどんな人か説明してみたいと思います。

大学の費用は国公立か私立か、文系か理系かで異なります。医科大や芸大等であればさらに高額になりますが、一般的な大学の費用は図の通りです。

出典:文部科学省「私立大学等の平成28年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」「公立大学基礎データ・平成29年度学生納付金調査結果」より

学費は4年間で国公立ならば250万円程度、私立ならば390万~530万円程度となっています。なかなかの金額ですが、これは学費のみです。生活費は別途必要です。

1カ月の生活費は、自宅から通学する学生は6万690円、実家から離れて一人暮らし(下宿生)なら11万7610円です。4年分(48カ月)の総額はそれぞれ約291万円と約564万円になります(全国大学生活協同組合連合会「第52回学生生活実態調査の概要報告」より)。

ここで注目すべきは実家住まいと一人暮らしの差額で、約273万円とかなり大きな額です。一人暮らしを始める際の初期費用(敷金礼金・家具家電・引越代金等)も加算すれば300万円を超えます。都市部で家賃・物価が高い場合は実家住まいとの差額はさらに大きくなります。1カ月当たり6万円程度の差額ですから、ほぼ住宅コストの負担の有無ということになります。

これらのデータはあくまで平均ですが、一つ明確に分かることがあります。それは一人暮らしの場合は実家住まいと比べて、学費と同等かそれ以上に生活費の負担が大きいということです。大学に通いながら生活費を全額アルバイトで稼ぐことは極めて困難ですから仕送りで穴埋めをして、それでも足りなければ奨学金で賄うことになります。

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