新人VS.先輩 会社で「びっくり体験」ランキング
驚くのは彼らを迎える先輩、上司も同様だ。
双方にびっくりした経験を聞き、ランキングした。

<新人のおどろき>
新社会人が最も戸惑うのが自由に発言したり休暇を取ったりしにくい組織の雰囲気。会議では「余計なことを言うと変な空気になる」(27歳女性)、「事前の根回しで方向性が決まっている」(29歳男性)など、独特な意思決定のしくみが若者を悩ませる。
「有休があるのに取ってはいけない暗黙のルールがある」(26歳女性)、「休むときは1人1人に理由を説明しなければならない」(25歳女性)など、実際の運用との落差に驚きの声が上がった。
実社会では手順が文書で示されないまま取りかかる仕事も多い。それが「文字で見た方が覚えやすいのでやりづらい」(28歳女性)など、マニュアルに慣れた新社会人にとっては戸惑う一因に。
マニュアル化しにくい仕事があるのは確かだが、「マニュアルがないことでミスが改善されない」(29歳女性)、「いちいち口で説明して非効率」(28歳女性)など問題点を指摘する声も目立った。
「少子化が進み、子供たちは学校でもお客さん扱い」(リクルートマネジメントソリューションズの桑原正義さん)。自分の都合より組織や取引先を優先する発想に切り替えるのに苦労するようだ。
特に目立ったのが悪天候や災害時の振る舞い。「大きな地震があったが出勤した」(29歳男性)、「台風直撃でも定時に出勤した」(25歳女性)など、社会人になって感じた驚きが伝わってくる。
かつて宴会への出席が半強制的だった時代の反動からか、後輩を飲みに誘うことに二の足を踏む先輩が増えている。一方で若い世代は「飲みに誘われない」(26歳女性)と物足りなさを感じている様子。もっとも先輩からは「世間話をしたら『予定がなければ飲みに行きませんか』と言われ、世の中のイメージと異なりびっくりした」(37歳男性)との意見も。先輩が遠慮しすぎている側面もあるようだ。
働き方改革で定時に帰る職場が増えた。それでも新社会人から見るとまだ無駄が多いと見えるようで、「残業が美徳と思っている先輩が多く、ちっとも効率を考えて仕事をしない」(29歳女性)といった指摘が相次いだ。
「低賃金だったので、残業代で稼ぐために定時すぎまで残る先輩がかなりいた」(26歳女性)など、若者が意外と冷静に先輩の懐事情を見通していることも浮き彫りになった。
企業はデータを分析して合理的に判断していると思う人は少なくない。社会人になってから「個人の直感的な対応が最終的な対応策になることが多い」(28歳男性)と驚くようだ。「長く仕事をしているのに説明が下手だったり、機器が使いこなせていなかったりする」(26歳男性)など、先輩のソフトや機器の習熟不足を嘆く声もあった。
同僚の個人情報をむやみに共有しない職場が増えてきた。「彼氏がいなくても聞かれないのでほっとした」(28歳女性)とプラスに受け止める一方で、「セクハラを意識してなのか、飲み会でもプライベートの話には触れないし、触れたとしても男性同士だけ」(24歳女性)との感想も。飲みに誘うのと同様、その場その場での対応が求められる。
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<先輩のおどろき>
今の20代が育った家庭や社会は上下関係が昔ほど明確でなく「友達感覚でなれなれしいときがある」(43歳男性)と感じる先輩も。目立ったのが「何でもマジですかと返してくる」(44歳男性)という声。「まじめな話をしている時の受け答えが軽い」(41歳男性)という印象を与えている。日本能率協会マネジメントセンターの斎木輝之さんは「ITの進化で連絡を取りたい人とは直接つながるため、場や状況をわきまえる経験が少ないことも一因」と指摘する。