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キャリアコラム

新人VS.先輩 会社で「びっくり体験」ランキング

NIKKEIプラス1

2018/3/25 NIKKEIプラス1

新社会人にとって職場は知らない常識ばかり。
驚くのは彼らを迎える先輩、上司も同様だ。
双方にびっくりした経験を聞き、ランキングした。

<新人のおどろき>

1位 発言や休暇は空気を読んでから 386人

 新社会人が最も戸惑うのが自由に発言したり休暇を取ったりしにくい組織の雰囲気。会議では「余計なことを言うと変な空気になる」(27歳女性)、「事前の根回しで方向性が決まっている」(29歳男性)など、独特な意思決定のしくみが若者を悩ませる。

 「有休があるのに取ってはいけない暗黙のルールがある」(26歳女性)、「休むときは1人1人に理由を説明しなければならない」(25歳女性)など、実際の運用との落差に驚きの声が上がった。

2位 仕事のマニュアルや説明がなかった 279人

 実社会では手順が文書で示されないまま取りかかる仕事も多い。それが「文字で見た方が覚えやすいのでやりづらい」(28歳女性)など、マニュアルに慣れた新社会人にとっては戸惑う一因に。

 マニュアル化しにくい仕事があるのは確かだが、「マニュアルがないことでミスが改善されない」(29歳女性)、「いちいち口で説明して非効率」(28歳女性)など問題点を指摘する声も目立った。

3位 台風・大雪でも出勤する 165人

 「少子化が進み、子供たちは学校でもお客さん扱い」(リクルートマネジメントソリューションズの桑原正義さん)。自分の都合より組織や取引先を優先する発想に切り替えるのに苦労するようだ。

 特に目立ったのが悪天候や災害時の振る舞い。「大きな地震があったが出勤した」(29歳男性)、「台風直撃でも定時に出勤した」(25歳女性)など、社会人になって感じた驚きが伝わってくる。

4位 あまり飲みに誘われない 117人

 かつて宴会への出席が半強制的だった時代の反動からか、後輩を飲みに誘うことに二の足を踏む先輩が増えている。一方で若い世代は「飲みに誘われない」(26歳女性)と物足りなさを感じている様子。もっとも先輩からは「世間話をしたら『予定がなければ飲みに行きませんか』と言われ、世の中のイメージと異なりびっくりした」(37歳男性)との意見も。先輩が遠慮しすぎている側面もあるようだ。

5位 仕事をだらだらやる 111人

 働き方改革で定時に帰る職場が増えた。それでも新社会人から見るとまだ無駄が多いと見えるようで、「残業が美徳と思っている先輩が多く、ちっとも効率を考えて仕事をしない」(29歳女性)といった指摘が相次いだ。

 「低賃金だったので、残業代で稼ぐために定時すぎまで残る先輩がかなりいた」(26歳女性)など、若者が意外と冷静に先輩の懐事情を見通していることも浮き彫りになった。

6位 データに基づかないアナログな判断が多い 100人

 企業はデータを分析して合理的に判断していると思う人は少なくない。社会人になってから「個人の直感的な対応が最終的な対応策になることが多い」(28歳男性)と驚くようだ。「長く仕事をしているのに説明が下手だったり、機器が使いこなせていなかったりする」(26歳男性)など、先輩のソフトや機器の習熟不足を嘆く声もあった。

7位 プライベートのことを聞かれない 98人

 同僚の個人情報をむやみに共有しない職場が増えてきた。「彼氏がいなくても聞かれないのでほっとした」(28歳女性)とプラスに受け止める一方で、「セクハラを意識してなのか、飲み会でもプライベートの話には触れないし、触れたとしても男性同士だけ」(24歳女性)との感想も。飲みに誘うのと同様、その場その場での対応が求められる。

8位 服装がカジュアル 93人
8位 女性が少ない 93人
10位 下積み時代を武勇伝のように語る 87人

◇  ◇  ◇

<先輩のおどろき>

1位 友達感覚で話しかけてくる 260人

 今の20代が育った家庭や社会は上下関係が昔ほど明確でなく「友達感覚でなれなれしいときがある」(43歳男性)と感じる先輩も。目立ったのが「何でもマジですかと返してくる」(44歳男性)という声。「まじめな話をしている時の受け答えが軽い」(41歳男性)という印象を与えている。日本能率協会マネジメントセンターの斎木輝之さんは「ITの進化で連絡を取りたい人とは直接つながるため、場や状況をわきまえる経験が少ないことも一因」と指摘する。

2位 プレゼンなど人前で話すのが上手 175人

 国際化の流れを受け、黙って教わるスタイルが主流だった日本の教育現場でも、自分の意見を人前で話したり討論したりする機会が少しずつ増えている。

 職場でも変化が起きており「会議で突然指名されても堂々と意見を言う」(55歳男性)、「自分が同じ年の頃はそんなにはきはき答えられなかった」(40歳男性)など、好印象を抱く声が多かった。

3位 プライベートを優先する 172人

 仕事をしていると、締め切りに間に合わせようとして残業が生じることも多い。新入社員は自分の都合より顧客との関係を優先する生活に慣れていないため、「トラブルが発生して大変な時に平気で休みを取る」(43歳男性)という批判が目立った。「男同士で月1回行く飲み会に誘ったら、きっぱり断った」(54歳男性)など、アフター5の付き合いの悪さを残念がる声もあった。

4位 周りと競わない 159人

 今の20代は少子化で競争が激しくなかったからか「覇気がなく平均で満足している感じがする」(47歳男性)と見られがち。若者側は「頑張っても人とそんなに差が開かないと言われやる気をなくした」(29歳女性)との言い分も。ジェイフィールの高橋克徳社長は「働き方が変わろうという時代に、残業を惜しまず責任を負って働く管理職を目指すのが当然との考えは無理がある」と指摘する。

5位 手取り足取り教える必要がある 146人

 マニュアルに慣れた20代を先輩はどう見ているか。目立ったのは「1から10まで伝えないと理解しない」(34歳女性)、「先輩の仕事ぶりを盗もうという姿勢がない」(55歳男性)という自発性に欠けるとの意見。

 「高校、大学を通じて何でも手取り足取り丁寧に指導を受けてきた若者が多い」(45歳男性)など、少子化の影響で社会人になるまでの教育が丁寧すぎた、との見方もあった。

6位 仕事への不満を隠さない 144人

 仕事に慣れていない新人は強いストレスにさらされる。ただ、先輩たちにとってストレスは自分で折り合いをつけるものとの意識が強く、不満を表に出すことは「何の努力や工夫もなくできないと平気で言う」(35歳男性)と映る。リクルートマネジメントソリューションズの桑原氏は「先輩から技術面の指導が少ないことも影響している」と見る。

7位 職場の固定電話を率先して取らない 126人

 電話を取るのは若手の役目という職場は多い。新社会人に対しては「電話を取らないのが自分の若いころと一番違う」(44歳男性)との声が目立った。

 もっとも最近は固定電話がない家庭が増えている。「外線へのかけ方がわからなかった」(27歳女性)などの意見もあり、機器としての使い方に不慣れな一面もあるようだ。

8位 ネット検索が速い 120人
9位 宴会で最初からビール以外を飲む 102人
10位 配属後もSNSで同期とつながっている 76人

■世代間ギャップ いつの時代も不変

 人材育成のプロがみる新社会人の特徴は「冷静で現実的」「無駄を省く」。経験は浅いが「ネット上の情報を組み合わせ一定の成果を出す自信がある」(リクルートマネジメントソリューションズの桑原正義主任研究員)。調査では自分の職場を「だらだらやる」「指導がない」と見ていた。

 一方、30代以上は経験を通じて仕事を覚えていった世代。自分で答えを見つけて問題解決した経験が多いため、新社会人に対して「手取り足取り教えないと何もできない」と手厳しい。

 ただ、こういった世代間ギャップは世の常で、先輩は新人に手厳しいもの。日本生産性本部などが毎年発表する新人の特徴には「情報処理能力は高いが経験が蓄積されない」(2003年度)、「外見だけが本物風」(1984年度)と並ぶ。ランキングには、歩み寄るためのヒントが隠れている。

◇  ◇  ◇

■これってうちだけ? 変わった習慣

 職場に変な習慣はないか。調査で聞いたところ「月に何度かじゃんけんをして、その場にいる人にコーヒーやアイスをごちそうする」(32歳女性)、「朝礼で1人が世の中について発表する」(26歳女性)など集団で行うものが目立った。

 中には「社員同士がプライベートで遊ぶのは禁止」(26歳男性)など、私生活に立ち入るものも。「プライベートのことを聞かれない」と答えた若者も多かったが、職場によっては違うようだ。

 「仕事が増えても給料は増えない」(30歳男性)、「土日出勤が常態化」(29歳女性)など、「働き方改革」が叫ばれているほどには浸透していない実態も浮き彫りとなった。

◇  ◇  ◇

 ランキングの見方 数字は回答者の人数。

 調査の方法 専門家の協力で20代向けに「社会人になって驚いたこと」40項目、30~50代向けに「新社会人を迎えて驚いたこと」31項目をリストアップ。2月下旬、ネット調査会社のマイボイスコム(東京・千代田)を通じて調査を実施し、リストの中から最大7項目まで選んでもらった。回答者は会社員、公務員として働く男女で、有効回答数は20代が504人、30~50代が500人。男女はほぼ同数。調査にあたって人材研修の日本能率協会マネジメントセンター(東京・中央)、リクルートマネジメントソリューションズ(東京・品川)、ジェイフィール(東京・渋谷)の協力を得た。

[NIKKEIプラス1 2018年3月24日付]

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