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史上最強の女性は? 影響力や戦闘力、歴史家に聞く

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/3/26

 バーンズ氏の評価では、クレオパトラの地位が彼女の性的魅力のみによるとされるのは、不公平かつ不正確だという。ほとんど内戦状態の中で、カエサルがクレオパトラに味方し、その政敵であるクレオパトラの弟と対峙したのは、彼女の性的魅力が際立っていたからではない。「王位を手に入れ、維持する力が彼女にはあると、カエサルはわかっていたから」というのが、バーンズ氏の見方だ。

 クレオパトラの影響力の源が知性であれ性的魅力であれ、いずれか(あるいは両方)を十分に備えていたことは否定できない。「影響を及ぼす」ことで権力を維持するという彼女の戦略によって、エジプトは激動の時代にありながら統一と独立を保ち、彼女の評判は何千年にもわたって守られた。

■戦闘で力を発揮した女王アルテミシア

 米グスタフ・アドルフス大学の准教授で、古典とジェンダー、女性とセクシュアリティー研究を行うユリー・ホン氏は、別のやり方を取る。

 「パワーについてよくあるイメージは、支配権と権威を持っていることです」とホン氏。「影響力はパワーの一つの形ですが、他者に対する直接の支配や権威と同じではありません」

アルテミシアに捧げられた飾り板。12の神に囲まれている(Photography by DeAgostini, Getty)

 ホン氏は直接的に力を及ぼした一例として、紀元前5世紀のハリカルナッソスの女王、アルテミシア1世を挙げる。海軍指揮官として尊敬を集め、ペルシャと同盟を組んでギリシャと戦った女性だ。

 紀元前480年、歴史上重要なサラミスの海戦が起こった。このさなか、敗北が差し迫ったと思われたときに、アルテミシアは味方のペルシャ軍を裏切る行動をとったらしい。しかし歴史家のヘロドトスによれば、彼女はギリシャ人とペルシャ人の両方から賞賛された。特にペルシャ王クセルクセスは彼女の才気をたたえ、その助言に従ったという。

ハリカルナッソスのアルテミシアの肖像。彼女はギリシャの歴史家ヘロドトスの記述で歴史に名を遺した(Photograph by Fine Art Images, Heritage Images/Getty)

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