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グルメ・トラベル

外国人があこがれる宿 古民家・宿坊、人気の理由 インバウンドサイト発 日本発見旅

2018/3/22

 ジャパンガイドのスタッフのレイナも、古民家に魅せられた外国人の一人。彼女が興味を持ったきっかけは、古民家の保存・再生を手掛ける建築家の瀧下嘉弘氏を追った短編ドキュメンタリー「Minka」(2011年)を見たことだったそうです。

 その後、取材で祖谷の篪庵(ちいおり)、五島列島の小値賀町(おぢかちょう)の古民家に宿泊しました。いずれも前出のアレックス・カー氏が手がけた再生プロジェクトによるものです。

 レイナに感想を聞いてみました。

 「やっぱり外国人はこういう木造の家にあこがれます。JAPANという感じがとてもするから。囲炉裏もあたたかいし、かやぶきも好きです。古民家のある場所は田舎が多くて行くのがちょっと大変だけど、静かで、朝起きたときの景色がとてもきれい。雨の日でも雰囲気がよくて、周囲の自然の景観がすばらしいですね」

■高野山に泊まる外国人、3年で3倍増

 「宿泊」という観点では少し特殊なのが、寺や神社の宿坊に泊まる体験です。本来は僧侶や参拝者のための宿泊施設ですが、近年では一般の観光客も受け入れる宿坊が増加。日本人からすると、修行のイメージがありますが、これもまた外国人観光客にたいへん人気なのです。

 一口に宿坊といっても設備や内容は様々。ふすまで仕切られた和室でお風呂とトイレは共同というところから、バス・トイレ付き個室が完備されたところや、旅館のような雰囲気の宿坊も少なくありません。洋室にベッドという部屋も最近はありますが、外国人観光客用というより足腰が弱くなったご高齢の利用者のためのもので、外国人はむしろ和室を好んでいます。朝のおつとめや護摩祈祷(きとう)などへの参加は自由ですが、観光客として拝観できる範囲よりさらに奥で、仏教や神道の世界に触れ、ふだんはできない貴重な体験ができるので、参加する人は多いようです。

(左)みごとな日本庭園を備える宿坊もあり、外国人観光客には喜ばれています。夜はライトアップする所も。(右)旅館のようにきれいな宿坊の部屋。冬はこたつも用意されています。(写真:japan-guide.com)

 全国各地にある宿坊の中で、とりわけ外国人に人気なのが高野山です。シャウエッカーによると、人里離れた山の上に、金剛峯寺を中心とした117もの寺がある町が存在する、そのミステリアスな雰囲気に外国人はたいへんひかれるのだそうです。そのうち52の寺に宿坊があり、英語が話せる僧侶やスイス人の僧侶がいる寺もあることから外国人観光客が急増。16年には、3年前の3倍となる約5万6000人の外国人が宿泊しています。

■新しい観光資源の可能性

 古民家や町家が宿として再生されることは、外国人観光客にとっては日本でのかけがえのない経験ができる場になりますが、同時に日本のツーリズムにとってもよいことだと思います。元の家を生かして最小限の修復を実施すればリーズナブルな宿に、内装や水回りに手を入れてラグジュアリーな雰囲気にすれば高級な宿にでき、旅行者の予算に応じた宿の提供が可能になるのです。

 現在の日本は空き家が急増しています。それらを上手に再生して利用すれば、すばらしい町や集落ができる可能性もあります。年々、数が減少している京都の町家も、条例で取り壊しの条件が厳しくなったことで今後は壊さずに活用できる道が開けていくかもしれません。これからも古民家を改造した宿は増えそうですが、空き家の問題も解消されながら、新たな観光資源が生まれることを願っています。

シャウエッカー光代
 ジャパンガイド取締役。群馬県生まれ。海外旅行情報誌の編集者を経て、フリーの旅行ライターとなり、取材などで訪れた国は約30カ国。1994年バンクーバーに留学。クラスメートとしてスイス人のステファン・シャウエッカーと出会い、98年に結婚。2003年、2人で日本に移住。夫の個人事業だった、日本を紹介する英語のウェブサイト「japan-guide.com」を07年にジャパンガイド株式会社として法人化。All About国際結婚ガイド、夫の著書「外国人が選んだ日本百景」(講談社+α新書)「外国人だけが知っている美しい日本」(大和書房)などの編集にも協力。

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