レクサスLSの大胆挑戦 「目指したのはボンドカー」

小沢 確かに足元は広いし、天井もシート高の設定問題だとすると両方取りだと。でも、乗った瞬間LSはシートが身体にすごくフィットするし「居る高級車」から「着る高級車」になったのかと思いました。

旭 居住性は少し縮めたところがありますが、座った時の目の前の広がり方や横のつながりなどで圧迫感は感じさせないようにしています。

レクサス「LS」のチーフエンジニア、旭利夫氏(写真右)と小沢氏

LSはだんだん売れなくなってきていた?

小沢 ではつくっている最中にあまりドキドキは感じていなかったと。スタイルと実用の両方取りでそれほどリスクは感じてなかったわけですか?

旭 いろんな意味でドキドキはしています(笑)。乗り心地にしろ、従来のLSはふわっとしたテイストでしたが、今回は意図的にしっとりしっかりしたものにしています。ピタッとフラットに乗っていただく。そういうイメージです。

小沢 レクサスは全体的に12年ぐらいからかなり変わってきましたよね。CMでも「アメージング・イン・モーション」と言い出して、クルマの映像が出てこなかったり、「ハードウエアではなく感動を売る」という姿勢を前面に出してきたりして。グリルも大胆なX字のスピンドルグリルに変えました。ぶっちゃけLSにしろ、台数が落ちるなど危機感があったのでは?

旭 LSは12年のマイナーチェンジでスピンドルグリルを採用しまして、当初は国内でも売れていました。最近はモデル末期ということもあって落ちていましたが。

2012年からLSが採用しているスピンドルグリル

小沢 初代LS、日本でいうセルシオから見て台数の移り変わりはどうですか。

旭 今回で5代目になりますが初代は為替が有利だったこともあって販売がとても良かった。台数で言えば初代が一番良くて2代目、3代目と減ってはいます。

小沢 いろんな事情があるとは思います。とはいえ今や世界のプレミアムブランドは販売を伸ばしていて、BMW、メルセデス・ベンツは既にグローバルで年販200万台をとっくに超え、アウディもそれに迫る勢いです。比べるとレクサスは70万台ぐらいですよね。焦りはあるんですか。

旭 冷静に見るとメルセデスやBMWは中国で一番売れています。さらに生産も中国国内でやっているので価格的にも有利です。それに対しレクサスは日本生産車を持っていく輸入ビジネスなので、そういった違いも出ていると思います。

小沢 そこに対して僕は理解できる部分と同時に疑問もあって、中国で売るならば現地生産化するしかないと思うんですよ。BMWの「3シリーズ」や「5シリーズ」、メルセデス・ベンツの「Cクラス」や「Eクラス」はすべて現地生産。価格や供給数的にかないっこないわけで、正直太刀打ちできない。今やBMW、メルセデス、アウディは中国だけでそれぞれ60万台レベルで売れています。比べるとレクサスは?