「家事の負担が重い、家事がつらいと感じている、若い世代の働く女性は少なくありません」(知的家事プロデューサーの本間朝子さん)。「仕事と家庭の両立」を考えるときに家事への不安を覚える女性もいます。家事の問題がなぜいま注目されているのか。背景と対処法を聞きました。
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ネットでじわじわ拡散し、賛否両論を呼んだ「名もなき家事」という言葉をご存じでしょうか。「料理」「洗濯」と名前のつかないようなこまごました家事、例えばトイレットペーパーを補充する、散らかった家族のものを拾い集める、ゴミ袋をセットするなど……。
一つ一つは大した時間も手間もかからないけれども、積み重なると大きな負担となってのしかかってくる。特に共働き夫婦の場合、男性は「家事は割と協力している」と思っているのに女性は「家事の負担が重い、夫はあまり協力してくれていない」と感じている。その意識のずれの原因が、この「名もなき家事」だというのが、大和ハウス工業が2017年5月に実施した調査の結果でした。
大和ハウス工業では、富山支店の女性社員が「家族で家事を分担しやすい家」を提案。当初は中部地区を対象に「家事シェアハウス」として商品化しました。
「最初、商品カタログの原稿を書いているチームの誰かがふと『名もなき家事……』と口にしたんです。これだ!きっとこの言葉からみんなが連想できる、と思いました」(大和ハウス工業住宅事業推進部営業統括部事業戦略グループ主任の多田綾子さん)
「名もなき家事」の負担解消をうたい、家事シェアハウスを17年初めから全国展開。17年12月までの販売実績は200棟を超えたといいます。
「購入者の中心的年齢層は30代後半。見学会の来場者は共働きが6割でしたが、専業主婦の方にも関心は高いようです」(多田さん)


百人百様「見えない」家事のプロセス
ネットでは「これまで心の負担だったことに名前をつけてくれてありがとう」という声の一方、「名もなき家事なんてくくることがおかしい」という声もあったそうです。
家事はプロセスが明確になっているようでいて、実際は百人いれば百通りのやり方があるといいます。やり方やレベルが個々に異なる部分の多くがこうした「名もなき家事」かもしれません。