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医師が語る 自殺する人と、踏みとどまる人の違い 自殺について考える(上)

日経Gooday

2018/3/14

自殺を考え、実行してしまう人と踏みとどまる人の違いには、精神疾患の重症度のほかに、個人のパーソナリティーが大きく影響しているようです。写真はイメージ=(c)Felix Renaud-123RF
日経Gooday(グッデイ)

3月は例年、月別自殺者数が最も多くなることから、厚生労働省は「自殺対策強化月間」と定めている。3月に自殺者が増えるのはなぜか。人はどんなときに自殺を考えるのか。身近な人が「死にたい」と言葉にしたとき、私たちはどのように対応すればいいのか。日本自殺予防学会理事長で、帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科教授の張賢徳さんにお話を伺った。

前編では、3月に自殺者が増える要因や、人が自殺を考えるプロセスについて解説する。

■3月の自殺には特有の心理が影響する

――3月は1年の中で最も自殺者数が多くなっています。なぜ、3月に自殺者が増えるのでしょうか。

月別の自殺者数はその時代によっても変わってくるのですが、厚生労働省が発行している「平成29(2017)年版自殺対策白書」の「月別自殺者数の推移」を見ると、近年はほとんどの年で3月、次いで5月に自殺者が多くなっていることが分かります。

※「平成29(2017)年版自殺対策白書」より

この現象には、いくつかの要因が考えられます。一つは、3月は自殺につながりやすい心理的な効果が働くことです。そもそも自殺を考える人のほとんどは困り事を抱えていて、精神科で診断がつくレベルのうつ状態になっています。これについては後で詳しく説明したいと思いますが、そうした精神状態にあるところへ、3月は年度末となることから追い立てられるような心境に拍車がかかり、「死ぬしかない」という思いに駆られやすいのです。

さらに、年度末には現実的な問題が生じることも多くなります。例えば、会社員の人では年度末は繁忙期でもあり、残業や休日出勤が多くなると、睡眠などの心身を休める時間や、家族・友人とのコミュニケーションの時間も十分に取れなくなります。自営業の人では、取引先への支払いや借り入れ金の返済を迫られるといった問題も起こってくる。そうした状況が「最後の一押し」となってしまうこともあります。

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