宿泊はわずか5棟のスイートヴィラ。内子町の名産である和紙に包まれた白い空間です。障子越しの優しい光は、心地よくてうたた寝したい気分になります。

内子町伝統の手仕事とともに楽しむ夕食

この宿の大きな楽しみが、内子町伝統の和ろうそくの光だけが照らし出す、地元の食材満載のフレンチディナー。キャンドルの向こうに桜が見えます。テーブルの上のナプキンまでろうそくの形、美しい晩さんの始まりです。

和ろうそくの明かりのもと供される、ここだけのディナー
地元の鍛冶屋さんが作ったキャンドルスタンドにアミューズが乗せられて

はじめに運ばれてきたキャンドルスタンドの上には、ちょっと楽しいアミューズが乗っています。この日にいただいたのは、フォアグラと町並みせんべいのクリスピーサンドのオレンジ風味。内子町の伝統銘菓「町並みせんべい」がサクッとカリカリ、もっちりしたフォアグラがとろりと広がって、オレンジの香りがじんわり。伊予牛のチャイニーズバーガーは、ほろほろに煮込んだ肉の甘味が絶品で、ワインによく合います。

温泉の中から、これぞ一目千本桜

歴史ある吉野山温泉に入って眺める千本桜は感激ひとしお

生涯で一度は眺めたいと称される「吉野山の桜」。奈良県・吉野山にも温泉宿があります。「吉野山温泉 湯元 宝の家(ほうのや)」は、露天風呂から千本桜の吉野山が一望。この夢のような場所で温泉に入ってみたいと、半年以上前から宿の予約をして出かけてきました。

吉野山には「泉湯谷」という場所があり、650年以上前に後醍醐天皇のために湯小屋を建てたという歴史ある温泉で、今もこんこんと湧き続けているというのも、ちょっとロマンチック。源泉温度が低いため、加温循環していますが、血行を促進して体の巡りを整える二酸化炭素ガスや、しっとり美肌をサポートするメタケイ酸を含有するやわらかな感触の温泉です。

宿の部屋から眺める夕暮れどきの吉野山の桜

部屋の窓からも、千本桜。昼間は白くて淡い色だった桜の花が、日暮れになると妖艶な色になり、まさに吉野山でしか味わえない感動的な光景に変貌します。夜は山から上る大きな月。月明かりに照らされる吉野山の桜。刻々と変わる桜の姿に驚きました。

散策も楽しい吉野山

吉野山の桜は、ふもとから山の上まで下千本、中千本、上千本、奥千本と、1カ月くらいをかけて咲いていきます。みるみる花開いていく開花の時期、満開を終えて桜吹雪が谷に舞う頃。どんな桜も楽しめる吉野山は、ぜひ温泉に泊まって一晩ここで過ごしてみてください。

石井宏子
温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト。日本の温泉・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。