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日本をどう変えるか 多芸の異才が描くビジョンとは リブロ汐留シオサイト店

2018/3/9

入り口脇のメインの平台に前著と並べて面陳列する(リブロ汐留シオサイト店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は、定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。同じ地区の書店が2017年12月に閉店したことで増えた客足が定着してきたのか、このところ売り上げは好調が続く。そこにトランプ米政権の内幕暴露本など話題の新刊が加わって、好循環を生み出している。そんな書店の活況をけん引していたのは、教育、研究、経営、アート、ものづくりとマルチな活動を続ける若手科学者による、日本のこれからのビジョンを説いた本だった。

■ネット書店から売れ出す

その本は落合陽一『日本再興戦略』(幻冬舎)。1月末に刊行され、まずネット書店から火がつき、いまや10万部を超えるベストセラーになっている一冊。経済ニュースアプリ、ニューズピックスと幻冬舎が組んだビジネス書シリーズとしては、17年11月刊行の『お金2.0』に続くヒットだ。メディアアーティストであり、筑波大学准教授も務める落合氏の人気と、これからの日本のグランドデザインという構えの大きい内容があいまって、注目度が高まっているようだ。

若い知的関心層に向けて、刺激的なアジテーションを投げかけていく本だ。著者がまず切り込むのは、今の日本人が抱く「欧米」という概念だ。「欧米」は存在しない。米国、英国、ドイツ、フランスと最低でも国単位で語れという。そもそも「西洋的な個人」という思考単位が日本の風土や感覚にあっていない。二分法で思考しない東洋思想の文脈が生きる日本では、「ワークライフバランス」というようなワークとライフを分けて考えるような発想では、うまくいくものもうまくいかないと言い切る。

■農民はマルチクリエーター?

では、そもそも日本の考え方の機軸とは何なのか。落合氏は歴史をさかのぼり、日本の統治機構や日本人の宗教観も手繰り寄せ、士農工商という江戸時代の職能分化制度に価値を見いだす。農の担い手だった「百姓」という言葉に注目し、100の生業を持つ個人事業主、マルチクリエーターと再定義してみせ、これからの重要になる生き方として提示する。

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