増える「むだ毛処理」男子 グルーミング家電に走る
白物家電 意外に知らない基礎知識
4月を目前に控えたこの季節、自分の身だしなみも改めて見直したい。この分野で最近注目されているのが男性向けのボディートリマー。体毛をそったり整えたりする「グルーミング」を行う家電だ。
伸びる男性グルーミング市場
調査会社GfKジャパンによると、2017年の家電量販店における男性向けグルーミング(ボディグルーマー、マルチグルーマー、ヒゲトリマー、眉トリマーなどの男性用フェイストリマー、男性用光美容器)の販売は、数量で前年比38%増、金額で前年比47%増と拡大している。
「これまで美容用品といえば女性がメインターゲットでしたが、最近は男性も美容用品を使い始めています」というのは家電コーディネーターの戸井田園子さん。「ひげに関してはどの世代もきちんと処理をしています。しかし、若い世代になると、鼻毛や耳の毛、眉毛など顔まわりのむだ毛をケアする人が増えます。パナソニックが20~34歳の男性にアンケートをとったところ、眉毛や鼻、耳など顔まわりのむだ毛処理(ヒゲ以外)をしている人は6割以上にものぼりました」
全身のむだ毛処理「グルーミング」を実行している男性も増え始めている。パナソニックの調査では、おなかやへそまわりの毛を処理している人は2割弱。胸やアンダーヘア、脇、腕、足まわりに関しては1割前後がむだ毛のケアをしていると答えた。
「体毛には、体温を維持したり、皮膚を保護したりする役割があります。しかし、今はそれらの役割を服が担っています。体毛に汗や排せつ物が付着するとにおいや雑菌の温床になるケースもあり、それを嫌って海外では全身を永久脱毛する人もいるほど。日本でも若い世代にとって、脱毛や剃毛(ていもう)は特別なことではなくなっています」(戸井田さん)
男性向けグルーミング市場の拡大について「新製品の発売やメーカーの参入が市場を押し上げるきっかけになっている」というのはGfKジャパン・アナリストの宮本徹さん。また「男性脱毛の話題がメディアで取り上げられるようになったのも影響しているのではないか」と分析する。「テレビ番組でブラジリアンワックスによる全身脱毛が特集されたり、スポーツ番組で日本人サッカー選手が『欧米男性は基本的にアンダーヘアをそっている』と発言したりするなど、メディアを通じて得た情報がきっかけで、むだ毛の処理に対する男性の認識が変わっているのかもしれません」
まずは長さを整える
この流れを受け、男性向け美容家電に注力する企業も出てきた。
美容家電や調理・家事家電を展開している小泉成器では、「メンズビューティー」というカテゴリーを設け、男性向け美容家電のラインアップを拡充している。
「小泉成器は顔そりやマユをスタイリングする『フェイス&マユシェーバー』や、髪の毛先をアレンジする『ストレートアイロン』、すね毛を処理する『レッグヘアトリマー』など、一通りのラインアップをそろえています。フェイス&マユシェーバー『KMC-0650/K』が実勢価格1140円、レッグトリマー『KMC-0630/K』が2280円と、若い男性や美容家電ビギナーも購入しやすい価格になっているのも人気の理由でしょう」(戸井田さん)
17年に発売された男性用グルーミング家電で注目を集めたのが、パナソニックの「ボディートリマーER-GK60」(実勢価格6820円)。腕や脚、胸に加え、ビキニゾーンやでんぶ、肛門とその周囲などのいわゆる「V・I・Oゾーン」まで、むだ毛の処理が1台でできるボディートリマーだ。
男性用グルーミング家電を扱うビックカメラ新宿西口店ビューティー家電担当の鈴木賢さんによると「グルーミング商品の中でも圧倒的な人気」だという。「ボディートリマーといえばこれ、というほど、お客様に認知されています」
その人気の理由について戸井田さんは「グルーミングのさまざまなニーズに応えられる設計になっているから」と解説する。「グルーミングする際、通常のカミソリだと刃先の形状が鋭利で肌への刺激が強いのですが、ER-GK60は、刃先が丸いため肌当たりが優しい。また、独自のヘッドは腕、脇、ビキニゾーンのみならず、カミソリでは届きにくいでん部などもそりやすい形状となっています」
ER-GK60はアタッチメントをつけることで毛の刈り高を調整できる。「体毛を完全にそってしまうことには抵抗がある男性でも使いやすいように工夫されています」(戸井田さん)
「いきなり全身をグルーミングすることに抵抗がある人は、おなか・おへそまわりから始め、慣れてきたら、胸やアンダーヘア、脇など気になる部分をケアしていけばいいでしょう」と戸井田さんはアドバイスする。毛の長さをそろえるだけでも清潔感を出すことはできるという。
(文 秋葉けんた=マイカ)
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