世界が注目「STEM教育」 リケジョ増加の切り札?

――STEM教育の重要性を教えてください。

「これほどコンピューターが普及し、どの現場でも理科系の素養が必要になることは明らかです。ただ、STEM教育は単なる理工系教育とは異なります。理科系の素養を身につけつつ、様々な分野の知識や技術を統合する能力を身につけることだと私は考えています。例えばプログラミングを学ぶこと自体が目的なのではなく、プログラミングを道具として使えつつ、そこからどんな新しいものができるのか考える力を持たせることがSTEM教育の目標です」

――海外の状況はどうなっていますか。

「米国ではより実用的なSTEM教育が進んでいます。欧州は以前から科学的リテラシーとして教科横断の総合的な能力を育てることが重視されていますが、最近は『Computing』というコンピューターに関する授業(日本におけるプログラミングとほぼ同義)にフォーカスする動きが強くなっています。アジアではシンガポールが熱心です。東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の関心も高く、タイでは、国家的プロジェクトとして国内に13カ所のSTEM教育センターをつくっています。当センターもタイのそれらのセンターを統括する機関とSTEM教員養成の共同研究を行っています」

――日本は遅れているのでしょうか。

「必ずしもそうだとは思いません。STEM教育をさまざまな分野の知識を統合して問題解決に挑戦する総合的な学びととらえれば、日本は『総合的な学習の時間』として20年以上前から学校教育の中で取り組んできたわけです。ただ、プログラミング教育といった理科系の要素だけみれば遅れている。本来プログラミング教育や英語教育は何のために学ぶかが大事なので既存教科の中に統合していくことが必要なのですが、なかなか既存のカリキュラムを見直すのは大変で、残念ながら英語教育やプログラミング教育を始めれば総合的な学習の時間が削られてしまうという現実もあります」

「情報技術が進展し、生き方が多様化する中で、学校教育の場にこだわるだけでなく、学び方自体も多様化することが自然ではないでしょうか。学校だけに頼るのではなく、放課後に別の場所でそうした総合的な学習を進めることも必要かもしれないと思っています。当センターも学童保育を開き、プログラミングやロボットづくり、ダンスや英会話など様々な学びの計画を自ら考え組み立てて,取り組むことができる能力を育てる試みを始めています。機械にはできない、人間だから考えられる力を伸ばしていくことがSTEM教育の目指すところです」

(福山絵里子)

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