cheat onは「だます」ではない? ゲスな誤解に発展も
デイビッド・セイン「間違えやすい英語」(8)cheat
「言葉の使い方を間違えて相手に誤解されてしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が間違えやすい英語の使い方を解説します。今回は、cheatの使い方。「だます」が基本の意味ですが、前置詞一つで別の意味を持ち始めます。
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勉強するときはいつも完全を目指す。しかし会話をするときは通じることを目指す。これが英会話には必要なポイントです。相手を前にして英語を話すときは、完璧な英語でなくても構いません。間違いがあってもいいのです。フレンドリーに笑顔で話せば、不完全さは補われます。間違いを恐れず英語を話しましょう。そして勉強するときは完全を目指しましょう。
以前、ひろしはナンシーからロレックスの時計を買いました。ところがそのロレックスの時計が原因でひろしはナンシーに怒っています。途中からひろしの言っていることが意味不明になり、ナンシーはまたしても、「不可解」の壁に遭遇することになります。
それはこんな会話でした。
Nancy: What?! A fake?
Hiroshi: Why did you cheat on me?
Nancy: No, I didn't cheat on you! We're not even dating!
Hiroshi: Dating…? Huh?
訳してみると、こうなります。
ナンシー:何ですって?! 偽物?
ひろし:どうして君は浮気なんかしたの?
ナンシー:私、浮気なんかしてないわよ。だいたい私たち、つき合ってもいないし!
ひろし:つき合い…? はあ?
Why did you cheat on me? 「どうして浮気なんかしたの?」、ここが間違いの元でした。確かにcheat には「だます、不正を働く」などの意味があります。ひろしは本物だと思っていたロレックスが偽物だと言われ、だまされたと思ったのです。でも同じcheat でもcheat on は「浮気をする、不倫をする」の意味でした。ちなみにdate は「つき合う」の意味。She's dating someone. であれば「彼女は誰かと付き合っている」の意味であり、「デートをする」のであれば go on a date.
では、どう言えばよかったのでしょう?