がん患者が不安を和らげる場 「マギーズ東京」の意義

日経Gooday

東京・豊洲にある「マギーズ東京」。木をたくさん使い、温もりのある本館の建物(写真 鈴木愛子、以下同)
東京・豊洲にある「マギーズ東京」。木をたくさん使い、温もりのある本館の建物(写真 鈴木愛子、以下同)
日経Gooday(グッデイ)

今や2人に1人ががんになる時代。医療の進歩で入院期間が短くなり、外来中心に変わる中、医療者と話す時間が減り、疑問や不安を抱えたまま過ごすがん患者が少なくない。そんながん患者の不安を和らげる相談支援施設が、2016年10月に東京・豊洲にオープンした「マギーズ東京」だ。それまでの日本の医療関連施設にはなかったコンセプトで運営されるこの施設では、患者や家族、その友人など、がんに影響を受けるすべての人が予約なしで気軽に訪れ、無料で専門家に相談に乗ってもらえる。

居心地のいい環境で心をほぐす

ゆりかもめ「市場前」駅から歩いて約4分。木をふんだんに使った2棟の平屋(本館とアネックス館)が渡り廊下で結ばれて建つ。「マギーズ東京のコンセプトは病院でも家でもない、第2の我が家のような居場所。リラックスできる環境を用意し、看護師や心理士ら専門知識を持ったスタッフが、友人のように同じ目線で話を伺います」とセンター長の秋山正子さんは話す。

一枚板のテーブルが置かれたオープンキッチンがあり、家庭的な雰囲気

マギーズ東京は、イギリスにある「マギーズキャンサーケアリングセンター(マギーズセンター)」の初めての日本版施設として誕生。マギーズセンターとは、乳がんで亡くなった造園家のマギー・K・ジェンクスさんの遺志を継ぎ、1996年にできたがん患者のための施設だ。

マギーさんは、患者ではなく一人の人間として対応してもらえる場所と、情報が多過ぎる中で様々な選択を行うためのガイド役が欲しいと願った。その思いを、夫や担当看護師らが受け止めて開設し、寄付で運営されている。イギリス国内を中心に、世界20カ所以上に広がっている。

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