薄い、大容量、整理が楽 ギミックで差がつく名刺入れ
独自機能搭載 進化する定番アイテムたち(中)
「形や機能には大きな差がない」というイメージが強い名刺入れだが、最近、どのように使うかに着目して開発された製品が登場している。「スマートに出せる」「大量の名刺も入れられる」「管理しやすい」という3タイプの技アリ名刺入れを紹介する。
自分にとっての使いやすさを求めて
素材やデザインに違いはあれど、名刺入れはフラップ式の2つ折りがほとんど。「それが名刺入れだ」といえばそれまでだが、実はさらなる機能を求める人も多いらしい。そうしたニーズに合わせて「最近は使用シーンや一連の動作が明確でシンプルであることに注力した商品が市場に増えている」というのは、バリューイノベーション代表取締役の南和繁氏。
「名刺入れを単に入れ物としてではなく、どのように使うか、快適さとは何か、といった使い方から考える方向に、人々の志向が変わったように感じます。ECが発達したことで、商品を事前に比較することができるようになり、自分の生活スタイルに合わせた商品をとことん研究してから購入する環境ができたことも大きいのではないでしょうか」(南氏)
名刺入れが使いやすければ、おのずと動作もスマートになる。初対面の相手に好印象を与えるためにも、名刺入れこそ自分にとって使いやすいものを選んでほしい。今回は、実用的な機能を持つ名刺入れ3モデルを紹介する。
名刺をスムーズに取り出せる
いつでもスムーズな名刺交換ができるように、最初からポケットに入れておくことを最優先に考えて作られた「薄い名刺入れ」。そのため本革製でありながら、厚さは約3ミリという極薄設計になっている。名刺入れを使うのは初対面の人と会ったとき。相手がかばんから名刺入れを出そうとゴソゴソしているところに、サッとポケットから名刺入れを取り出すだけで心に余裕が出てくるというもの。スムーズな名刺交換で好感度も上がるはずだ。
名刺入れの側面を握ると底の革が折れ曲がり、名刺がポップアップする仕組みになっている。名刺を素早く取り出せるうえ、ワンアクションで名刺が飛び出すギミックは会話のきっかけにもなるだろう。
アブラサスは、バリューイノベーションが展開する自社ブランド。「薄い財布」や「ひらくPCバッグ」といった特徴的な商品を手がけ、好評を博している。
「購買層としては30代以上の男性が多く、既存の名刺入れに満足されず、機能性を求める方が多いです。10枚程度の収納力ですので、イベントなど一気に名刺を配るようなシーンには向いていませんが、日常的に持ち歩いて使用する方から支持をいただいております」(南氏)
マチが広がり名刺100枚収納
人気レザーブランドのエムピウからは、なんと100枚もの名刺を収納できるケースが販売されている。これだけ大容量だと分厚いものがほとんどだが、この「チェント2」は名刺の枚数に合わせて厚さが20~40ミリに可変する。そのため普段は一般的な名刺入れ同等の厚さで使えて、イベントやレセプション時は大容量名刺入れとして活躍する。
底のマチ幅を可変式にするため、上部も底部も同じフラップを差し込む構造を採用。そのため表面と裏面が同じデザインになっており、どちらからも名刺を出し入れできる点もユニークだ。また、プラスチック製のケースなら30枚ほど収納でき、内部に仕切りがあるので、名刺とポイントカードの両方を入れておくこともできる。
素材にはイタリア製タンニンなめしの牛革を使用。使うほどに色が濃くなりツヤが増すエイジングを楽しめるのも魅力だ。
「発売から5年経った今も、好調な売り上げをキープしています。購入された方からは、『予備の名刺を持ち歩かなくていいのでうれしい』『仕切りがあるので自分の名刺といただいた名刺を分けられるので使いやすい』『ポイントカード入れに便利』『2種類の名刺を持ち歩くのに重宝している』といった声をいただいております」(エムピウ代表取締役 村上雄一郎氏)
名刺を貼って保管&管理
シートやテープの二次加工を手がける日吉パッキング製作所が、自社ブランドとして展開しているハリトレー。培ってきた加工技術を用いて、「何度も貼って、取れて、また貼れる」という「名刺ホルダー」を開発した。
名刺ホルダーの内部には粘着テープが付いており、そこに名刺を貼り付けて収納する仕組みになっている。名刺を「面で貼る」のではなく「点で貼る」のが特徴で、名刺のフチをテープ部分に貼って保管する。そのため名刺ホルダーを開くと、素早く名刺にアクセスでき、受け取った名刺も素早く収納できる。
貼った名刺は何度でもはがせて再度貼り直せるので、受け取った名刺の並べ替えがスムーズに行える。また、名刺を本のようにパラパラとめくれるため、検索も簡単。名刺入れとしてはもちろん、名刺の保管用ホルダーとしても活躍する。
「多くのメディアで紹介していただいたこともあり、2011年秋の発売以降、5万個以上売れています。ビジネスパーソンはもちろん、文房具会などのコミュニティーでも人気があります。またポイントカードなどのホルダーとしても使えるため、最近は記念品としてのオファーも多いです」(日吉パッキング製作所代表取締役 原比奈子氏)
(ライター 津田昌宏、写真 宮前一喜=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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