砂漠の巨大な目、動く石、光る球 驚きの自然現象3選科学で迫る世界のミステリー

日経ナショナル ジオグラフィック社

デスバレーでは、繊細な生態系が破壊される恐れがあるため、器具を設置してこの謎を科学的に解明することは規制されてきた。そこで2011年、米国の研究者がGPSを付けた石と撮影機材、突風を観測する設備を現地に持ち込み、石がどのように動くのかを調査した。

2年間にわたる観測の結果、研究チームはついに石が動く原因を突き止める。わかったのは次のようなプロセスだった。降った雨が夜間の寒さで凍結し、薄い氷の板ができる。その後、日光の熱で板が割れていくつかの破片に分かれる。その破片に突風が吹きつけて動く際に、石も一緒に押されて動くのだった。

謎の発光体「球雷」

最後に、「球雷(ボールライトニング)」と呼ばれる不思議な現象を紹介しよう。目撃例は少なくないが、あまり研究の対象となっていない。その奇妙さゆえ、幻覚ではないかと考える科学者もいるほどだ。

球雷とは、雷を伴う嵐の際によく現れる、光を放つ球状の物体だ。大きさはテニスボールからバスケットボールほどまでとさまざま。目撃者によれば、その発光体はシューシューまたはヒューヒューと音を上げながら、激しい勢いで前後に向きを変えつつ地面を転がったり地表から数十センチ浮いて跳ねまわったりしてから、バンという音を立てて爆発する。

窓から飛び込んできた球雷を描いた挿絵(1901年)

空中を飛来して窓から家に入ったという人もいれば、旅客機の通路を走って機体の後部から外に消えるのを見たという乗客もいる。また地震の最中に活断層の上で目撃されたこともある。危険を伴うことは滅多にないが、有名な事例が一つある。18世紀にドイツで活躍した物理学者ゲオルグ・リヒマンが、実験室で球雷が頭部に当たって死亡したのだ。

球雷が何であれ、雷でないことは確かだ。一説では、シリコンの粉末が雷に撃たれることでボール状に固まって発光したものとされる。嵐のときに電気を帯びた粒子が窓のような表面に蓄積して電場を形成し、球状に放電するという説もある。球雷を再現する実験は、ほとんど成功していない。

[書籍『今の科学でここまでわかった 世界の謎99』を再構成]

ナショジオメルマガ
ナショジオメルマガ